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田中将大選手、前田健太選手が目玉!2006年のドラフトを振り返る

2017 6/28 09:44cut
baseball、ball
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分離ドラフトの注目は斎藤佑樹選手

2006年のドラフト会議は高校生ドラフトと大学生・社会人ドラフトとに分離されており2回のドラフト会議が行われている。分離ドラフトは2005年から始まり2回目となったが、翌2007年のドラフトまでで終わっており2008年からは高校生、大学生、社会人ともに一緒に行われる年に1回のドラフト制度へと戻っている。
2006年のドラフト会議では早稲田実業の斎藤佑樹選手が注目の一人となっていた。夏の甲子園で田中将大選手率いる駒大苫小牧高校と決勝戦において延長再試合の激戦を演じた斎藤選手だが、ドラフト会議の2週間前に大学進学を表明する。
目玉の一人が大学進学を表明しドラフト戦略に変更があった球団もあったようだ。

高校生ドラフトの注目は?

斎藤佑樹選手が大学進学を表明したことで高校生の目玉選手は田中選手そして堂上直倫(どのうえなおみち)選手の2名となった。田中選手は高校生ながら即戦力としての期待がなされ複数球団からの指名が予想されていた。
また、堂上選手は兄である堂上剛裕(どのうえたけひろ)選手、父である堂上照(どのうえてらし)選手が中日ドラゴンズの選手ということもあり、野球一家のサラブレッドとして指名が有力視されていたのだ。
田中選手には東北楽天ゴールデンイーグルス、横浜ベイスターズ、オリックス・バファローズ、北海道日本ハムファイターズの4球団が競合。堂上選手には読売ジャイアンツ、阪神タイガース、中日の3球団が競合し福岡ソフトバンク入りを熱望していた大嶺祐太選手にはソフトバンクと千葉ロッテマリーンズが入札。3選手に11球団が競合することになったのだ。
抽選の末、田中選手が楽天、堂上選手が中日、大嶺選手がロッテと交渉権を手にする。このドラフトで単独指名となったのは広島東洋カープの指名した前田健太選手ただ一人だった。
ハズレ1位で指名された選手には坂本勇人選手(巨人)、吉川光夫選手(日本ハム→巨人)らもおり多くの選手がプロ入り後に活躍している世代でもある。

大学生・社会人ドラフトでは岸孝之投手ら

大学生・社会人ドラフトでは希望枠では岸孝之選手、大隣憲司選手、永井怜選手らが入団。その他にはオリックス3巡目で大引啓次選手、楽天3巡目で嶋基宏選手、中日3巡目で浅尾拓也選手など各球団の主力となる選手が多く指名されている。
また、日本ハムが4巡目で巨人に入団を熱望していた日本大学所属の長野久義選手を指名した。長野選手は日本ハムの指名に対しお断りを入れ社会人野球のHondaに進む。この指名で日本ハムと長野選手が険悪になることはなかった。長野選手は交流戦で日本ハムとの対戦の際に挨拶へ行くなど交流は行っており器の大きさを感じさせてくれている。

梶谷選手、角中選手ら下位指名からも続々と

下位指名選手からも多くの主力選手が生まれている。高校生ドラフトに目を向けると横浜が3巡目で梶谷隆幸選手を獲得。デビューしてからもケガに悩まされることも多かった梶谷選手だが2014年シーズンからは完全にレギュラーへ定着し2017年シーズンも強打の2番打者としてチームを引っ張る。
広島の3巡目指名となった會澤翼(あいざわつばさ)選手も石原慶幸(いしはらよしゆき)選手と併用されながら順調に育っており、2015年開幕前の日本代表対欧州代表の親善試合では侍ジャパンにも選出されている。
大学生・社会人ドラフトではソフトバンクが4巡目で森福允彦(もりふくまさひこ)選手、5巡目で長谷川勇也選手を指名した。森福選手は2016年シーズンオフにFA宣言を用いて巨人へと移籍したが左の中継ぎ投手として2014年、2015年の日本一連覇に貢献している。長谷川選手は2009年からレギュラーとして活躍し2013年には打率.341で首位打者、198安打で最多安打を獲得している。近年は故障がちだが再度の奮起に期待がかかる。
ロッテは7巡目で角中勝也選手を指名。四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスからロッテへ入団。2012年にレギュラーを獲得すると打率.312で首位打者を獲得。その後、レギュラーに定着し2016年シーズンにも自身二度目となる首位打者を獲得している。
日本ハム7巡目では今浪隆博(いまなみたかひろ)選手が指名されユーティリティープレーヤーとして活躍。2014年シーズン途中にヤクルトへ移籍後も日本ハム時代と同じような活躍を見せ2015年のリーグ優勝にも貢献した。2016年シーズン中に甲状腺機能障害を発症しシーズン終盤は欠場。今後も病気と付き合いながらにはなるが再起に期待がかかる。

楽天の礎を作った!?

2005年のシーズンからパリーグに参加している楽天は2006年が3回目のドラフト参加となった。2017年になり、改めて振り返ってみると楽天は太い幹となった選手達を2006年のドラフトで獲得していることがわかる。

【2006年楽天ドラフト結果】
<高校生ドラフト>
1巡目:田中将大選手
2巡目:指名なし
3巡目:山本大明選手

<大学生・社会人ドラフト>
希望枠:指名なし
1巡目:永井怜選手
2巡目:指名なし
3巡目:嶋基宏選手
4巡目:横川史学選手
5巡目:渡辺直人選手

<育成ドラフト>
1巡目:金森久朋選手
2巡目:中村真人選手

高校生ドラフトでは現在ニューヨーク・ヤンキースで活躍する田中選手を獲得。楽天では7年間で99勝を挙げ、海を渡る前年になる2013年は24勝0敗1セーブという前人未踏の記録を打ち立てる大活躍を見せている。
また、大学生・社会人ドラフトでは2009年のチーム史上初となるクライマックスシリーズ進出に貢献した永井怜選手、現在も正捕手として君臨する嶋基宏選手、いぶし銀の渡辺直人選手を指名。育成では野村克也監督のシダックス時代の教え子でもある中村真人選手を獲得。中村選手は育成から支配下登録され2009年のクライマックスシリーズ進出に貢献し悪球打ちとしても名を馳せた。
楽天は2006年ドラフトで投手、捕手、内野手、外野手と有望な選手を獲得に成功し2009年のクライマックスシリーズ進出、2013年の日本一に繋げることができたのだ。
このようにドラフトでは長きに渡って活躍する選手を同時に獲得する例も出てくる。毎年このようなドラフトができるのが理想ではあるがうまくはいかない。ドラフト結果を10年経って回想するのも野球の楽しみ方の一つではないだろうか。