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野球に多い肘の故障、その予防やケアの方法とは?

2017 2/9 09:26
野球 肘 ケア
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Photo by tammykayphoto/ Shutterstock, Inc.

野球による肘の故障は一般に「野球肘」という名称で知られています。この疾患の原因は、繰り返される投球動作による肘の使い過ぎです。ここでは野球肘の予防方法や、痛みのケア、効果的なストレッチ法などをご紹介していきます。

野球で肘を痛める原因は?

野球肘は主に少年野球をする成長期の選手の、特に投手に多くみられる疾患で、投球動作を繰り返し行うことで骨が障害されることによって起こります。
主な症状は肘の疼痛ですが、将来的に骨の変形など重大な障害を残す場合もあるので注意が必要です。大人の野球肘が肘の靭帯そのものが損傷するのに対し、子どもの場合、ほとんどが靭帯が付着している骨や軟骨部分が障害を受けます。投球動作の中でもボールが手から離れる直前の最も加速をかける瞬間に、最も強い負担がかかると言われています。

肘に痛みを感じたらすべきこと、また予防法は?

野球などを日常的にやっていて、もし肘に痛みや違和感を感じた時は、放置せずにまずは整形外科など医療機関を受診し、正確な診断と適切な指導・治療を受けて下さい。しばらく安静にするよう指示されて辛いかもしれませんが、ここで無理をすると将来全く野球ができなくなったり、日常生活にも支障を来たすことがあります。
まだ痛みがない状態でも、腕を前に伸ばし、指を逆向きに反らせるストレッチを行って野球肘を未然に防いだり、異常を確認するようにしましょう。

野球肘を治すために大切なことや、主な治療法とは?

最も大切なことは、痛みや違和感をごまかして練習を続けたりせず休養することです。軽度の場合はほとんどがこれで回復します。試合前など大事な時期という場合もあるでしょうが、無理をすると将来の選手生命自体を脅かすことになりかねません。
医療機関では野球肘改善のために、ストレッチや正しい投球フォームの指導などをするほか、電気治療・超音波治療・温熱治療・ギプスやサポーターによる固定などを行います。また重症の場合は靭帯移植や骨穿孔術などの手術が行われます。

野球肘の効果的なストレッチ法とは?

野球肘の予防や症状の緩和のためのストレッチ法をご紹介します。
1.床にひざまずき、指を体の方に向けて手首から肩が床と直角になるように手を付きます。次にお尻を後ろに引き、重心を徐々に後ろ側にかけていきます。前腕に適度なストレッチ感を感じながら30秒程度続けます。
2.投球する側の肘を反対の手で持ち、頭の後ろで組みます。曲げている投球側の手は肩甲骨を触るようなイメージで、左右30秒ずつキープします。呼吸は自然に、姿勢を正しくして行いましょう。
3.横向きに床に寝そべり、上側の膝を曲げて床に付け、下側の脚は伸ばしておきます。骨盤の位置を保ったまま、上半身を反対側に開きます。肘が反対側の床に付くようにしましょう。呼吸は自然に30秒この姿勢をキープします。

肘を故障した経験のあるプロ野球選手

過去に肘を痛めたプロ野球選手は数多くいます。元ヤクルトの荒木大輔投手は、1998年に肘の痛みを訴え、3度の手術と長いリハビリを余儀なくされました。元巨人の桑田真澄投手は、1995年に右肘の靭帯断裂で手術を受けています。またメジャー入りした選手にも肘の故障は多く、松坂大輔・田中将大・ダルビッシュ有投手なども、靭帯損傷や断裂など深刻な状態に陥り手術を受けています。
原因としては高校野球時代からの投球回数の多さによる肘の酷使が挙げられます。またメジャー入りした日本人選手の故障にはボールの重さやマウンドの土の固さも影響していると言われています。

まとめ

野球選手にとって肘の状態は生命線と言えます。肘の状態を良好に保つためには、正しい投球フォームの習得や適切なストレッチ法などを知り、実践することが大切です。未来の野球界を担う子どもたちが、健康に楽しく野球を続けられるように周囲の大人が気を配ってあげましょう。