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箱根駅伝2019② ~青学を止めるのは東洋大か~

2018 12/30 15:00鰐淵恭市
東洋大学,Shutterstock
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正月の風物詩、第95回箱根駅伝

青山学院大が史上初となる2度目の学生駅伝三冠を達成するか、ライバルがそれを阻止するか。正月の風物詩、東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)が来年1月2、3日に行われる。すでに各校のエントリーは発表された。今回で95回目となる歴史ある大会を制するのはどの大学か。

東洋大(前回2位)

青山学院大の原晋監督はライバルに東海大の名を上げたが、青山学院大の夢を打ち砕くとすれば、東洋大ではないだろうか。過去10大会は全て3位以内、過去3大会連続2位と抜群の安定感を誇る。

戦力的には、前回の箱根の3区区間賞で4年生の山本修二、今年の全日本8区区間賞で3年生の相沢晃、日本選手権1万メートルで4位に入賞した2年生の西山和弥が3本柱になる。この3人が力通りの走りを見せることが、青山学院大を脅かす最低条件となる。

今年の出雲、全日本は青山学院大相手に相撲にならなかった。出雲では相沢が1区で区間2位、山本が3区で区間3位だったが、西山が2区で区間6位に沈み、先行逃げ切りの思惑が外れた。終盤は追い上げ、青山学院大にあと一歩と迫ったが、序盤の遅れが響き、12秒差の2位に終わった。

全日本では長距離区間となる7区に山本、8区に相沢を配置し、出雲とは逆の終盤勝負に出た。山本は区間3位、相沢は区間賞と、この2人に関しては指揮官の思惑は当たったが、序盤のキーマンとして2区に配置した西山がまさかの区間14位。この時点で優勝争いから大きく脱落した。結果、3位には入ったものの、先頭を争うことができなかった。もちろん、西山のせいだけではなく、出雲6区区間賞の吉川洋次、前回の箱根で7区を走った渡辺奏太がけがで欠場したことも大きかった。

箱根では吉川はエントリーに名を連ねたが、渡辺の名はなかった。渡辺の欠場は痛いが、経験は青山学院大にも負けないものがある。

前回大会で酒井俊幸監督は、3年生以下を9人起用した。翌年以降を見据え、伸びしろのある若い力をあえて使った。そして、その起用に選手も応え、往路では1区から1位を守り続けて往路優勝を果たした。復路では青山学院大との選手層の差が出てしまったものの、総合2位は上出来だったと言っていい。長い距離への耐性は青山学院大に勝るとも劣らず、学生3大駅伝で最も距離の長い箱根とは相性がいい。

今年の全日本6区で区間5位となった1年生の鈴木宗孝ら、新戦力も台頭してきている。「その1秒をけずりだせ」のスローガンを今年も実践できれば、鉄紺のたすきがトップでゴールにやってくる可能性もある。

◇注目の選手
小笹椋

1年生の時から箱根に出場し続けている。前回大会は最終10区を走り、区間賞に輝いた。 今季は出雲の4区で区間4位、全日本では5区で区間3位。飛び抜けた走りはできていないが、大崩れしない安定感がある。 今回は4年生で主将でもある。その背中でチームの走りを引っ張る。

駒大(昨年12位)

青山学院大、東洋大、東海大が今年の「3強」と言われるが、その3校に続くのが、予選会を突破してきた駒大だ。平成に入って、箱根で6度、全日本で12度の優勝を誇り、「平成の王者」と呼ばれてきた駒大だが、前回はまさかの12位。シード権をも逃す形になってしまった。

ただ、さすがにその力は侮れない。予選会では2位の順天堂大に7分の差をつける圧勝で、トップ通過を果たした。なので、前回の12位という結果はあまり参考にならない。

今年の3大駅伝では、出雲は不出場だったが、全日本では4位に入り、3強に続く力があることを証明した。ただし、優勝争いには絡めない上に、3位の東洋大には1分30秒以上の差をつけられた。良くも悪くも3強に続く力というのが現時点である。 ここからどう盛り返すのか。指揮を執るのは、熱血漢でも知られる大八木弘明監督である。3強の一角を崩すレースが期待される。

◇注目の選手
片西景

箱根の1区間は約20キロ。片西はこの距離に強い。2017年のユニバーシアードのハーフマラソンで金メダルを獲得した実力者である。前回大会は1区を任された。序盤でのリードを期待されての起用だったが、区間3位。悪くはない順位だったが、満足できなかったはず。最終学年となった今回はどんな走りを見せるか。