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第50回全日本大学駅伝⑤  「打倒関東」を目指す地方の大学

2018 11/3 07:00鰐淵恭市
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出雲で入賞、関西ナンバー1の立命大

全日本大学駅伝で関西勢が優勝したのは、1986年第17回大会の京産大のみ。1桁順位は99年第31回大会で京産大が5位になったのが最後だ。

しかし、今年は少し期待が持てるかもしれない。10月の出雲駅伝で立命大が9年ぶりの入賞となる7位に入ったからだ。10位の早大、12位の法政大といった箱根駅伝常連校を抑えての入賞だった。

6月に行われた全日本に向けての関西地区選考会でも、立命大がトップで18大会連続30回目の本大会出場を決めた。2位の京産大に3分以上の差をつける圧勝だった。主軸になるのは、出雲で主要区間を任された辻村公佑(4年)、今井崇人(3年)、吉岡遼人(2年)の3人だろう。

5000メートルでチームトップの14分12秒20という記録を持つ辻村は、出雲で1区に起用され、区間12位と無難にまとめた。日本インカレの1万メートルで4位に入った今井は3区を走り、区間5位の好走。関西インカレ1万メートル2位の吉岡はアンカーを任され、順位を3つあげて7位でゴールした。

昨年は16位。その時のメンバーの半分が今年も残る。区間距離の変更で、例年に比べて序盤で大きく引き離される可能性が低い。なんとか食らいつき、関東の牙城を崩して、過去最高10位を上回りたい。

関西勢で唯一の全日本優勝校、京産大

関西勢で唯一全日本での優勝経験がある京産大は関西地区選考会を2位で通過し、6大会連続46回目の出場を決めた。関西の雄と呼べる存在である。

ただ、近年は厳しい結果が続いている。一昨年は17位、昨年は過去最低の18位。今年の出雲は13位だった。

チームの軸となるのは上坂優太(4年)。2、3年の時に全日本に出場している。今季は関西インカレのハーフマラソンで優勝。出雲では1区を任され、7位と好走を見せた。

1971年から指導する伊東輝雄名誉監督が指揮を執る。関東に素質のある選手が集まる中でも、毎年のように実業団に選手を送り出す。男子マラソンで2005年世界選手権代表の細川道隆、2020年東京五輪代表選考会となるマラソングランドチャンピオンシップの出場権を獲得した上門大祐は伊東監督の教え子だ。今大会もその指導力で1桁順位を目指したい。

名将に捧げる走りを、大阪経済大

関西地区選考会で3位に入ったのは、2大会ぶり22回目の出場 を果たした大阪経済大だ。前評判では関学大が有利とみられたが、最後の切符をもぎ取った。

同じ関西勢でも、立命大や京産大と比べると少し力が劣る。27年ぶり3度目の出場となった今年の出雲では、17位と厳しい戦いだった。

ただ、選手たちには頑張らなければならない理由がある。今年1月に監督だった鶴谷邦弘監督が亡くなったからだ。鶴谷監督は、全国高校駅伝で兵庫・報徳学園高を何度も優勝に導いた名将だった。

一昨年の全日本は20位。今回も厳しい戦いが予想されるが、鶴谷監督の意志を継いで伊勢路を駆け抜ける。

初陣の新潟福祉大、監督がメダリストの広島経済大

関東、関西勢以外にも、注目チームはある。

今大会、初出場を果たしたのが北信越地区選考会1位の新潟医療福祉大だ。創部12年目にして、ついに全日本への出場権を手に入れた。チームで唯一1万メートル30分台という記録を持つ小林史弥を中心に、1つでも上の順位を目指す。

外国人留学生がいるチームもある。3大会ぶり25回目の出場となる札幌学院大と2大会連続23回目の第一工大だ。
札幌学院大は1年生にケニア人のローレンス・グレがいる。今年の出雲では1区10位の走りを見せた。九州地区選考会1位の第一工大はケニア人のジェフリ・ギチア(4年)がいる。第一工大は40回大会で、留学生の力を中心にして7位に入ったこともある。10年前の再現となるか。

指導者が注目されるチームもある。中国四国地区選考会を勝ち抜き、5大会連続22回目の出場を決めた広島経済大だ。男子マラソンで2005年世界選手権銅メダリストの尾方剛氏が監督を務める。過去4年は20位前後の成績が続いた。尾方監督の指導力が花を開かせるだろうか。

今年の全日本大学駅伝は、11月4日午前8時5分、名古屋・熱田神宮前をスタートする。