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世界を席巻する長距離王国 ケニアに行ってみた(2)

2017 3/28 20:13きょういち
ケニア
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夜明け前から通学を始める子どもたち

 ケニア人がなぜ速いのか。高地で生まれ育って心肺機能が発達している、膝下が長い上に細くて長距離に向いている、骨盤が前傾していて前方に楽に進む、など身体的な特長が挙げられますが、同様に言われ続けるのは「ハングリー精神」です。貧乏だから、金持ちになりたくて、必死に走る。ともすれば、偏見ともとれる見方ですが、実際はどうなのでしょうか。

 ケニア人初の五輪マラソン金メダリストのワンジルは、14歳まで靴が履けなかったといいます。両親が離婚し、狭いトウモロコシ畑から得られる収入はごくわずか。小さいころはボロボロのミニカーで遊んでいたと言います。8歳で走り始め、陸上クラブに通いましたが、お金が払えなくなり、クラブも小学校も辞めました。

 私がニャフルルを訪れた時のある朝。朝焼けの草原の向こうから子どもたちが歩いてくるのが見えます。みんな、歩いて登校しているのですが、その距離はとてつもなくあります。

 日本の人は「アフリカの子どもたちは何時間も歩いて学校に行く」と思いがちですが、実際にニャフルルで見た子どもたちはまさにその通りでした。2時間ぐらい歩く子もいるそうです。夜明け前から歩いてくる子もいるので、日の出とともに子どもたちが街に向かってくるのが見えるのです。ニャフルルの街のそばには、野生のカバが住んでいる池があるのですが、子どもたちはその池のそばを歩いて街にやってきていました。

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▲ニャフルルのそばには野生のカバが


 筆者が見た限り、どの子どもも靴は履いていました。ただ、ほとんどの子どもの靴はつま先がやぶれていました。日本ならとっくに捨てられている靴を、彼らは大切に履いています。

日本の校名が書かれたユニホームで走る選手たち

 ちなみに、日本の実業団で活躍する選手はユニホームや靴を故郷に持って帰って、これからの選手にあげるようです。

 ケニアの地方大会を見ると、そのユニホームに驚かされます。「仙台育英」と書かれたユニホームを着た選手が何人もいます。日本の実業団の名前が入ったものもありました。

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▲仙台育英高校のユニホームを着て走る地元の子ども。ほかにも「愛知」と書かれたユニホームを着ていた選手もいた


 そんな姿を見ると、ケニア人の持つ「ハングリー精神」は偏見ではないと思います。だからこそ、故郷で大きな家を建て、事業を興し、走るための用具も提供してくれる日本へ行ったランナーは憧れの的であり続けるのです。

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