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陸上競技が強い国はどこ?強さの理由に迫る

2017 1/30 21:11
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Photo by Shahjehan/Shutterstock.com

リオデジャネイロオリンピックでの日本代表の活躍で、陸上競技に興味を持ったという方は多い。種目別に陸上競技の強国を探り、その強さの理由に迫りたいと思う。

陸上競技が強い国とは?

2016年に行われたリオデジャネイロオリンピックの陸上競技におけるメダル獲得数を見ると、1位はアメリカで金13銀10銅9の計32個、以下2位ケニア(計13個)、3位ジャマイカ(計11個)、4位中国(計6個)、5位南アフリカ(計4個)と続き、日本は計2個で17位だった。リオデジャネイロ大会以前を見てもアメリカはメダル数で他国を大きく引き離して1位となっており、世界トップクラスの強豪国であると言える。
しかし陸上競技には多数の種目があり一概にメダル数=陸上競技全般で強いということにはならない。国によってピンポイントで強い種目というのもあるのだ。そこで2各種目ごとの強豪国を挙げ、その強さの理由に迫りたいと思う。

スプリント種目。ジャマイカ

かつてスプリント種目で強さを誇っていたのはアメリカだった。しかし近年ではウサイン・ボルトに代表されるようにジャマイカのスプリント種目での活躍が目立つ。男子100m・200mの世界記録はボルトが、さらに4×100mリレー・4×200mリレーの世界記録もジャマイカが保持している。
なぜこんなにもスプリント種目でジャマイカが強いのだろうか?その理由の1つがジャマイカ人のルーツにある。
現在のジャマイカ人の多くのルーツは、かつて労働力として海を渡ってきた西アフリカ出身の移民だ。西アフリカの特徴として暑い気候が挙げられ、その気候に適応するために西アフリカの人々は体を大きくし汗をかきやすい筋肉質の体へと変わっていったと言われている。そのような肉体的な特徴がボルトのような爆発的な脚力の源になっているのだ。

マラソン。ケニア

ケニアはリオデジャネイロオリンピックのマラソンで男女ともに金メダルを獲得するなど、マラソン界の強豪国として知られている。また男子の世界記録もケニアのデニス・キプルト・キメットが保持している。
ケニアは、標高が高く年間の平均気温が低い国だ。そのため高地トレーニングのような環境が日常的にあり、マラソン選手としての下地形成につながっていると考えられる。また地理的な要因だけでなく、資本的な要因も大きいと言われている。
欧米の企業によってケニアにトレーニング施設が作られ、さらに指導者や競技をサポートするスポンサーがいて選手をサポートする体制が整っている。このようなマラソンに適した地であり、支援体制が整っているということがケニアのマラソンの強さの背景にある。

リレー。日本

リオデジャネイロオリンピックでの銀メダル獲得が記憶に新しい4×100mのリレーだが、この種目で日本はアテネオリンピック4位、北京オリンピック銅メダル、ロンドンオリンピック4位と安定して上位に位置している。他国を見ると100m9秒台を記録している選手がチームに多数いるのが当たり前な中で、日本チームには9秒台の選手はいない。日本が世界を相手に好成績を残せている要因はなんなのだろうか?
日本は個の力で他国に負けている分を、チームワークを高めることで補っている。その具体例が高度なバトンパスだ。次の走者の手のひらへ下から上にバトンを渡すアンダーハンド・バトンパスは長い時間をかけて磨いてきた日本の武器だが、たかがバトンパスでそんなに変わるのか、と思っている人もいるかもしれない。
バトンパスによって埋められる時間はわずか0コンマ数秒だが、3回行われるバトンパスを積み重ねると大きな時間差が生まれる。0コンマの世界で競い合う陸上競技において、このわずかな時間は大きな力になるのだ。わずかな時間を得るために長い時間をかけて練習をするという日本人らしさが日本のリレーの強さの秘密なのだ。

なぜアメリカはメダル獲得数が多いのか

リオデジャネイロオリンピックの陸上競技で32個のメダルを獲得したアメリカは、オリンピックでの通算獲得メダル数でも約800個と他国を圧倒している。なぜ、こんなにもアメリカは強いのだろうか。その理由としては、アメリカが移民国家であるということがあげられる。
かつてオリンピックで金メダル9個を獲得したカール・ルイスはルーツをアフリカに持つ。アフリカの人々が気候に対応するために体を大きくし汗をかきやすい筋肉質の体へと変化したということは紹介したが、陸上競技で結果を残しているアフリカをルーツに持つアメリカ人が多いということはアメリカの強さの背景の1つとしてあげられる。
また、アメリカのスポーツ環境も強さの理由だ。アメリカでは複数のスポーツに取り組むのが一般的。複数のスポーツで様々な身体の使い方を身につけることが競技に良い影響を及ぼしているのだ。さらにアメリカではアマチュアスポーツの人気も高く、特に大学スポーツは時には年間で100億円以上の収益を上げるチームもあるほど。何万人も入るスタジアムを大学のチームが持っていたり、指導者が何人もチームにいて指導体制が整っているなど、スポーツに取り組むための恵まれた環境が揃っている。
このようにアメリカは複数の要因が合わさって陸上競技を始め様々な競技で結果を残しているのだ。

まとめ

陸上競技が強い国とその強さの理由を紹介してきた。国の地理的な要因によるもの、人種的な要因によるもの、技術的な要因によるものなど強さの理由は様々だ。 種目による国の強さの違いがわかると、より陸上競技を楽しめる。