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ニューイヤー駅伝2017〈2〉~トヨタの3連覇が有力も、東日本勢も侮れない~

2016 11/25 12:08きょういち
駅伝
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Photo by FCG/Shutterstock.com

ニューイヤー駅伝2017①~それは駅伝日本一決定戦~ではニューイヤー駅伝とは何ぞや?ということを説明しました。じゃ、今年はどこが強いの?って思いますよね。今回は優勝候補を紹介します。

出場チーム一覧

選手層が厚い2連覇中のトヨタ自動車

 現在2連覇中なのが、トヨタ自動車です。豊富な資金力をバックにした選手層はさすがの一言です。中部地区の予選では、2位に約5分の差をつけて優勝。オープン参加のBチームも2位のNTNに2秒差で3番目にゴールしました。

 主将の大石港与、早川翼、宮脇千博、山本修平、松本稜ら実力のある日本選手に加え、外国人選手も複数います。そして、今年は東洋大学から昨年の学生ナンバーワン選手、服部勇馬が加入しました。その服部は中部地区の予選では最長の4区を走り、区間賞をマークしました。しっかりと戦力になっています。

 そういった選手を指導する佐藤敏信監督の手腕も大きいです。かつてはコニカミノルタのコーチとして、黄金期を支えました。トヨタ自動車に移ってからも、その指導力はいかんなく発揮されています。
 昨年5月、関東学生対校選手権のサブトラックに佐藤監督の姿がありました。視線の先には服部がいました。この時点でほぼ入社が固まっていましたが、念には念を押して、しっかりと足を運んでいました。その指導力もさることながら、スカウトでの腰の低さもさすがです。

 トヨタ自動車の不安要素とすれば、エース格の窪田忍が足首の故障で、ニューイヤーに間に合わない可能性が高いこと。もちろん、窪田が欠場すれば痛いのは間違いないのですが、それでもトヨタ自動車の選手層の厚さがカバーしてくれるかもしれません。

「山の神」が加入したコニカミノルタ

 2年連続2位に甘んじたコニカミノルタも実力者がそろいます。強力な助っ人もいます。そして、今年は昨年度の箱根駅伝で青山学院大学を優勝に導いた「山の神」こと神野大地が加入。さらに力を増しています。
 東日本の地区予選では7位でしたが、宇賀地強、設楽啓太ら、主力は出場しませんでした。だから、この順位をそのまま実力と受け止めない方がいいです。むしろ、新人の神野が2区で区間3位とまずまずの走りを見せたことをプラスにとらえた方がいいかもしれません。そして何より、このチームはニューイヤーに強い。2001年以降、優勝8回、2位5回。大一番で外しません。

 東日本の地区予選で優勝した日清食品グループも、毎年優勝候補に挙げられます。佐藤悠基、村澤明伸ら、大学駅伝のスター選手が、多数在籍します。やはり、強力な外国人選手もいます。実力通り走れば、トヨタ自動車の3連覇を阻むかもしれません。

九州の名門、今年はどう?

 大学駅伝のスターをそろえるという意味では、旭化成が一番かもしれません。深津卓也、鎧坂哲哉、村山謙太、紘太の兄弟……。毎年のように、有力選手が加入します。

 最後に優勝したのは1999年。でお伝えしたように、旭化成は昭和の時代からの名門で、古き良き実業団のスタイルを守っています。外国人選手は入れないというポリシーを崩していません。ただ、外国人選手が走る「インターナショナル区間」の2区でいつも引き離されてしまうのが、優勝から遠ざかっている理由です。そんな中、旭化成は数年前に一つのポリシーを崩しました。

 旭化成は本拠を置く宮崎県延岡市で選手を働かせ、練習もさせます。ところが、箱根駅伝人気が高まると、有力選手は関東や都会に本拠を置くチームに就職したがるようになり、選手が集まらなくなりました。もともと旭化成は高校生の選手を加入させ、強くするスタイルでしたが、力のある選手は関東の大学へ進むから、やっぱり集まらない。そこで、旭化成は「東京採用」を数年前から採用しました。延岡に住まなくてもよい、東京で練習してよい、というスタイルです。
 だから、これだけの選手が集まるのです。そして、毎年のように優勝候補に挙げられながら、うまくいきません。外国人選手が走る「インターナショナル区間」の2区で引き離され、追う展開を強いられるからです。長く旭化成を指導してきた宗兄弟が1月9日生まれなので、「宗さんに誕生日プレゼントを」と選手は意気込むのですが、今年はどうでしょうか。

あの強豪にも助っ人が

 21世紀になってコニカミノルタとともに、実業団駅伝を引っ張って来たのが中国電力です。ただ、最後の優勝は2007年。旭化成と同じように外国人選手を入れないスタイルを取ってきたのですが、今年はそのポリシーを捨て、ケニア人のポール・カマイシが加入しました。坂口泰監督の母校、世羅高校に留学していたから採用しやすかったのかもしれません。中国地区予選は2位に終わりましたが、今年は無理でも、数年後に再び黄金期を迎えているかもしれません。

 昭和時代の名門、カネボウも外国人選手を採用し、復活の兆しがあります。東日本では2位。男子マラソンの日本記録保持者である高岡寿成監督の手腕にも注目です。

(きょういち)