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小鴨、渋井、野口、福士らが駆け抜けた大阪国際女子マラソンきょう号砲

2021 1/31 06:00SPAIA編集部
一山麻緒(左)と前田穂南Ⓒカンテレ
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Ⓒカンテレ

一山麻緒と前田穂南の東京五輪代表が直接対決

「第40回大阪国際女子マラソン」が31日、長居公園(大阪市東住吉区)内の周回コースで行われる。

これまで数々のドラマを生んできた浪速の冬の風物詩。1992年に20歳の小鴨由水が2時間26分26秒の初マラソン世界最高記録で優勝すると、2001年には渋井陽子がこれまた2時間23分11秒の初マラソン世界最高で優勝。2003年には野口みずきが2時間21分18秒で優勝して同年の世界選手権、翌年のアテネ五輪に弾みをつけ、2016年には福士加代子が2時間22分17秒で優勝してリオ五輪出場を決めた。

昨年は松田瑞生が2時間21分47秒の好タイムで優勝して東京五輪代表に近付いたものの、3月の名古屋ウィメンズマラソンで一山麻緒が2時間20分29秒の好記録をマークし、逆転で五輪代表を勝ち取ったのは記憶に新しい。

今大会はその一山とMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で優勝した前田穂南の東京五輪代表2選手が出場する。しかも現役男子ランナーの川内優輝がペースメーカーを務めるだけにハイペースは必至。野口みずきが2005年のベルリンマラソンでマークした2時間19分12秒の日本記録更新に期待がかかる。

16年ぶりの日本記録更新に期待

29日の会見では前田が「2時間20分切りを目指して頑張って走っていきたい」と意気込むと、一山は「日本記録を目指して練習してきたので、このような状況で開催してくださったことに感謝の気持ちを持ってチャレンジしていきたいと思います」と堂々と日本記録更新を口にした。

新型コロナ感染防止のため変更された周回コースについては、前田が「コース試走していないのですけど、あんまり気にしていないです」と語り、一山も「歩いて散歩しました。フラットでアップダウンも全然なく走りやすいだろうなっていう印象。同じような景色だなと思ったのですが、本番はペースメーカーの背中とか見ていると思うので、あまり見ないと思います」と2人ともそれほど意に介していない様子。

とはいえ、周回遅れの選手をうまく追い抜けるか、狭いコースで集団のどこに位置して走るかなど、周回コースが勝敗を分けるポイントになる可能性もある。

高橋尚子も期待「マラソン界が動く瞬間」

シドニー五輪金メダリストの高橋尚子は「マラソン界が動くその瞬間を見逃さないでほしい。2005年に野口みずきさんが日本記録を出してから16年。ずっと止まっていた日本マラソン界というものがようやく動き始める瞬間が大阪で見られると私は信じています」と日本新記録への期待を隠さない。

1998年のバンコクアジア大会で景色の変わらない無観客状態の高速道路で行われたレースを走り、自身が持つ日本最高記録を4分以上も更新した経験があるだけに「自分の足音や周りの選手の呼吸も聞こえるので、自分自身の体調や周りの選手の状況を客観的に把握できるバロメーターになった。自分の中に入り込める、集中するという部分ではメリットになる」と周回コースの利点を強調する。

大阪学院大時代によく走ったという長居公園について、平坦で折り返しや急なカーブがない点に加え「もともと木があって風の影響を受けにくいのですけど、さらに今回フェンスで仕切られると聞いているので、横風を防いでくれる選手への大きな味方になる」とメリットを挙げた。

コロナ渦のため東京五輪へ向けて流動的な状況が続くが、いずれにしても本番前の重要なレースであることは間違いない。16年ぶりの日本新記録は誕生するか。レースの模様はカンテレ・フジテレビ系で全国生中継される。

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