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横綱の昇進条件は厳格化へ!あいまいな条件を解説

2016 9/9 08:08
横綱
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Photo by J. Henning Buchholz/Shutterstock.com

現在の横綱になるための条件は、実はとてもあいまいなものなのだ。
横綱の昇進条件のわかりにくい点を解説する。

横綱に昇進するための条件はとてもあいまいな規定

横綱の昇進条件は、横綱審議委員会の内規に「大関の地位で2場所連続優勝、またはそれに準ずる成績をあげた力士」とあるだけだ。
この条件を満たすと日本相撲協会の委員長が横綱審議委員会に諮問する。横綱審議委員会が審議をして、出席者の3分の2以上の賛成があれば横綱に推薦され昇進が決定する。
内規の条件の「それに準ずる成績」が拡大解釈され、一度も優勝していないのに昇進した横綱もいる。具体的な勝利数の規定もないので、横綱に昇進した人の直前の成績もバラバラだし、相撲の内容が悪いとして昇進が見送られるケースもある。

昭和初期の横綱昇進基準は甘かった?

2場所連続優勝が必須条件と言われる横綱昇進の条件だが、以前は優勝に準ずる成績であればよいとの解釈で、かなり甘い条件で横綱になった力士がいる。
昭和に横綱に昇進した力士のうち、2場所連続優勝で横綱になったのは、栃錦、大鵬、北の富士、琴櫻の4人しかいない。当時の横綱昇進にふさわしい成績を収めていたことは事実ではあるが、基準を満たしてもいない千代の山、吉葉山、朝潮、柏戸、玉の海が昇進している。
優勝経験がまったくない双羽黒が横綱になり、その後廃業に至ったことが、昇進基準の厳格化を促進した。

2場所連続優勝することが昇進の絶対条件に!

双羽黒が廃業してしまったことは、大相撲協会にとってとても大きな事件だったようだ。横綱の昇進条件に2場所連続優勝が絶対に必要になったのも、双羽黒が優勝しないまま権威ある横綱に昇進させてしまったという負い目があったからかもしれず、この後の横綱昇進の基準が厳格化されたのも事実だ。
結果的に横綱になったが、旭富士、貴乃花、武蔵丸は、もっと早く横綱に昇進してもおかしくない成績の時があった。2場所連続優勝というのは、とても厳しい条件なのだ。

厳格化されたその裏で涙をのんだ力士たち

ハワイ出身の小錦は、初の外国人大関になり、人気も実力も兼ね備えた力士だった。平成3年11月場所と平成4年3月場所で優勝し、その間の平成4年1月場所は12勝を挙げ、極めて安定した成績を残したにもかかわらず、2場所連続優勝ができずに横綱昇進を見送られた。
小錦の場合は、初の外国人横綱誕生への抵抗が叫ばれたこともある。千代大海や魁皇といった実力者たちも、優勝の前後にそれに準ずる成績を挙げていたにもかかわらず、優勝できなかったため昇進できなかった。

横綱の昇進条件を明確化するのは不可能なのか?

鶴竜が横綱になった際には、2場所連続優勝ではなかった。2場所前は優勝決定戦で負けて優勝していないのだが、優勝と同じ扱いとされ昇進している。
番付を決める際には、優勝と同点の場合は同じ価値とされており、こちらには明確な基準があるのだ。
横綱には成績の安定性の他にも、品格を求められることも少なくない。絶対的な勝利数だけで昇進を決めるものではないのかもしれないが、応援しているファンにも分かりやすい明確な基準があれば、力士も具体的な目標ができてやりやすいのではないだろうか。

まとめ

横綱に昇進するための絶対条件というものがなく、条件が曖昧であることが、横綱昇進のたびに物議を醸す要因となっている。
実力が拮抗する時には、絶対的な勝利数で判断できないのも確かだ。この点をあいまいにしておくことで柔軟な対応をしているとも言えるかもしれない。
ただ、明確な基準を設けておく方が今の世の中には合っているかもしれない。