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大相撲の立合いには制限時間あり!くわしく解説します

2017 5/8 19:55茶色野うさぎ
大相撲
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出典 J. Henning Buchholz/Shutterstock.com

大相撲中継を見ていると「制限時間いっぱい」という言葉をよく聞く。取り組みが始まる合図なのだろうか?
今回は制限時間についてよく知らない方のために、立合いと制限時間について詳しく解説する。

立合いの制限時間について

立合い(たちあい)というのは相撲の取り組みのときに、お互いが呼吸を合わせて試合を開始させることを呼ぶ。立合いに至る過程としては、まず行事に呼び出されて土俵に上がる→清めの塩をまき土俵を清める→仕切り線の前で蹲踞(そんきょ)→相手と目を合わせて両手をつく、という流れだ。
もともと立合いには制限時間がなく、相手と呼吸があうまでは何回でもやり直していたそうだ。制限時間が導入されたのは1928年の1月場所からで、これはラジオで放送することに合わせて設定されたものだった。

制限時間のとりきめ

制限時間の取り決めについて紹介する。制限時間は幕下以下が2分、十両が3分、幕内になると4分と決められている。時間を計るのは勝負審判の一人である時計係が行い、呼出(よびだし)と呼ばれる白い和装の係が扇子を広げて東と西の力士を呼び上げたところから計測を開始している。
制限時間がくると時計係から行事に合図が送られ、力士や観客は時間いっぱいになったことを理解する。行事は「時間です」「待ったなし」などの言葉をかけながら、軍配を返して力士に立合いをうながす。

制限時間内は自由、制限時間後は「待ったなし」

本来、立合いというのは相手と呼吸を合わせるのが目的なので、ルール上は制限時間内であれば自由に取り組みを開始してよいことになっている。両者の気持ちが高まり、呼吸が合えば制限時間前に立合うというのもしばしば見られた光景で、双葉山関、大鵬関などの大横綱を倒すため奇襲として一回目の仕切りから立合うということもあった。
「待った」をすることも可能だが、横綱は受けて立ち観客を喜ばせている。現在は「待った」に制裁金がかかるという話があるが、これは制限時間外の「待った」に対してのものだ。行事から「時間いっぱい、待ったなし」という声がかかってからの「待った」は制裁の対象になる。

勝負の分かれ目となる「立合い」

相撲は審判や行事によって試合が開始されるわけではない。競技をする二人が目を合わせ、呼吸を合わせて試合を開始するという珍しいスポーツだ。そのため立合いの出来によって勝負の7、8割が決まってしまうともいわれている。
制限時間がなかった頃や、時間前の立合いが多かった頃は、両力士の気持ちの高まりや駆け引きをどきどきしながら観客は見守った。近年は制限時間内での立合いは減ったが、その分制限時間いっぱいになった時に一気にボルテージが高まるような雰囲気に変わってきている。

制限時間をいっぱいにつかった演出

力士たちは呼出に呼ばれて土俵に上がる。土俵に上がってからは二人の呼吸で一連の動作を繰り返すわけだが、制限時間いっぱいになってからの気合の入れ方や、パフォーマンスで館内を盛り上げる力士たちもたくさんいる。ソルトシェイカーの異名をもつ水戸泉関の豪快な塩まき、朝青竜関のまわしを思い切りたたく動作、高見盛関のロボコップ的な気合入れ、琴奨菊関のイナバウアーのような反り返りなど観客の喜ぶパフォーマンスがたくさんある。
また日馬富士関は時間の経過とともに気合も高まり、仕切りで両手をつく動作の時に地面すれすれまで低い姿勢をとり、観客のどよめきを誘う。こうした盛り上がる演出がみられるのも制限時間のあるおかげといえる。

まとめ

大相撲における立合いの制限時間について解説してみたが、いかがだっただろうか?
ラジオやテレビの放送を楽しむのに制限時間が貢献しているのは間違いない。力士たちも与えられた時間の中、全力のパフォーマンスを見せてくれるので、ぜひ注目してほしい。