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大相撲の醍醐味を味わえる「稽古見学」の作法まとめ

2017 5/8 19:55takutaku
大相撲
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出典 Oliver Foerstner/Shutterstock.com

190センチ以上、200キロオーバーの力士たちが、全力でぶつかりあう…そんな光景を目の前で観てみたい方へ!
相撲部屋の朝稽古見学から地方巡業での稽古見学まで、大相撲の稽古を見学するための基本情報の紹介しよう。

稽古なくして力士なし

大相撲は、世界中から相撲のエリート達が集まる厳しい競争の世界だ。力士にとって稽古は何よりも大切な時間で、どんなに優れた素質のある力士でも稽古をろくにせず、勝ち星を重ねることは不可能だ。
本場所や地方巡業で取組みに費やす時間は、日々の稽古に比べればごくわずかだが、力士が自分の技に磨きをかけるのは稽古場以外にはない。また、いくらたくさんご飯を食べても、しっかり稽古をしなければ筋肉もつかず無駄になる。
このように、力士にとっては稽古こそが本業だといっても過言ではないのだ。

稽古はどんなことをするの?

日々の稽古のプログラムは部屋ごとに異なるが、基本運動とそれ以外にわかれる点では同じだ。 基本運動とは「四股」「鉄砲」「股割り」「すり足」の4つで、もっとも重要なのが四股だ。「四股をふむ」という言葉があるように、左右の脚を高く持ち上げて下ろす四股の動作は相撲の基本だ。四股を何万回と繰り返すことで足腰を鍛え上げ、本場所をケガせずに戦いぬくための土台をつくる。
基本運動以外の稽古で重要なのは「ぶつかり稽古」だ。テレビなどでよく見かけるのもこの稽古で、先輩力士にむかって下位の力士が全力でぶつかり、相手を土俵の外まで押し出す動作を繰り返す。押し込みが弱かったりすると、先輩力士に容赦なく投げ飛ばされるので気が抜けない。

稽古見学の醍醐味とは?

一般の相撲ファンが稽古見学をする醍醐味は、なんといっても「全力で戦う力士を間近で見られる」ということだ。 相撲部屋の近くに住んでいる人なら、浴衣とまげで歩いている力士達の姿を目にすることも多いだろう。しかし、通常現役の力士達が激しく稽古する姿は滅多に見られない。
戦う力士の動きは早く、200キロ近い体重を感じさせないほど俊敏だ。また普段から股割りをしているので、体が非常にやわらかいことにも驚くだろう。すさまじい音を立てて頭からぶつかりあう光景は、力士がスーパーアスリートであり「ここまで大きく強くなれるものなのか」と実感できる貴重な機会だといえる。

稽古見学の際に注意すべきこと

そもそも相撲とは、神様に奉納するための神事だった。横綱が土俵入りの際につけるまわしには、神社の拝殿でよく見かけるしめ縄がついているが、これは横綱がご神体であることを意味している。
このように相撲とは神聖な格闘技だから、土俵の上ではなによりも礼節が重んじられる。そんな神聖な場所での見学時に携帯電話は勿論、余計な私語は厳禁だ。写真撮影については、部屋ごとにきまりがあるので指示に従おう。
また、いくら相撲ファンだからといって、稽古中の力士に不用意に声をかけたりするのも禁止だ。

地方在住のファンなら巡業中の朝稽古がねらい目かも

相撲部屋はたくさんあるが、稽古の見学が可能な部屋は意外と少ないようだ。昨今、ネット上で稽古見学を認めている相撲部屋の情報があふれている。情報では「見学OK」なのに実際には見学不可(その逆もあり)だという例もかなりあるようだ。
また見学の作法も部屋ごとに違いがあるので、希望する場合は必ず直接部屋に問い合わせることをお勧めする。なお、力士の後援会やタニマチであれば、親方に頼むことで稽古見学の都合をつけてもらえることが可能かもしれない。
「相撲部屋は東京に集中しているので、地方在住の自分だと見学できない」という方は、地方巡業に行ってみてはいかがだろう。地方巡業では取組みの行われる会場で、朝から行われる「朝稽古」を誰でも見学することができる。地方巡業の場合、相撲部屋での見学と違って、見学するファンが多くやや緊張感が薄れることがあるが、見学のマナーがきびしく求められる点では部屋での見学と同じであることを忘れないようにしよう。

まとめ

新米力士にとって稽古は命がけだ。少しでも気を抜くと親方や先輩から、更に厳しい稽古が待っている。初めて相撲部屋の稽古見学に行った人は、その緊張感に息を呑むことだろう。華やかな本場所観戦も楽しみ方の一つだが、稽古見学も同じくらい相撲の醍醐味を十分に味わえるだろう。