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覚醒なるか?!サガン鳥栖・富山貴光

2017 5/17 09:55芝田カズヤ
サッカー ゴール
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富山貴光選手とは?

富山選手は1990年12月生まれで、2017年に27歳を迎える、サッカー選手として円熟期を迎えつつある選手だ。4歳からサッカーをはじめ、出身地である栃木県の強豪矢板中央高校サッカー部を経て早稲田大学ア式蹴球部(サッカー部)へ入部し2013年に大宮アルディージャに入団しプロ選手としてのキャリアをスタートする。アルディージャでは3年間プレーしたのち、2016年シーズンよりサガン鳥栖に移籍、2017年シーズンは移籍2年目となる。
富山選手のポジションはフォワードだ。そのプレーの特徴はスピードを活かしたドリブルや背の高さを活かしたヘディングでの競り合い相手のディフェンスラインから一瞬で抜け出す駆け引きのうまさ、精度の高いシュートなど多才なフォワードだ。
このような能力の高さから、高校時代より年代別の日本代表に選ばれている。
そんな、若い頃から活躍している富山選手はこれまでにどのような選手経験を積んできたのだろうか?

特別指定選手だった高校時代

先ほども紹介したように富山選手は栃木県の強豪、矢板中央高校で高校時代を過ごしている。高校時代にはU-16日本代表候補、U-17日本代表に選ばれているほか、2年生の時の全国高等学校サッカー選手権大会では大会の優秀選手に選ばれ、日本高校選抜としてヨーロッパ遠征に参加するなど、すでに同年代でもトップレベルの選手として活躍していた。
富山選手はその能力を認められ、高校3年生の時にはJリーグベガルタ仙台の特別指定選手に選ばれている。 特別指定選手とはプロと学生の種別を超え個人の能力に応じた環境を提供するための制度で、高校や大学のサッカー部に所属しながらJリーグクラブの一員としてリーグ戦に出場することができるのだ。
特別指定選手制度の対象は大学生と高校生だが、そのほとんどは大学生だ。富山選手はベガルタでの試合出場こそなかったものの、高校生ながら特別指定選手になるというのはめったにないケースだ。その後、高校卒業時にベガルタ仙台から正式な入団のオファーがあったが、プロとしてやっていけるか不安があったことからオファーを断り、大学サッカーの強豪早稲田大学へと進学する。
プロに進むという選択肢がありながら敢えて大学へと進学した富山選手。早稲田大学ではどのような活躍を見せたのだろうか?

サッカー人生で最も影響を受けた大学時代

高校時代には年代別日本代表に選ばれ、特別指定選手も経験した富山選手。高卒でのJリーグ入りを断り進学した早稲田大学では1年次からチームの主力として活躍する。関東大学リーグでは入学直後の開幕戦からスタメンとして起用され、開幕戦ゴールも決めている。また2年次にはU-21日本代表としてアジア大会優勝、3年次にはユニバーシアード日本代表として優勝を経験するなど、順風満帆な大学サッカーのように思われる。しかし、フォワードである富山選手にとって最も欲しかったであろう得点に関しては満足のいく成績が残せていない。1年次は関東大学サッカーリーグのトップ20に入れていない。2年次以降はトップ20には入るものの、9点(2年次/7位タイ)、5点(3年次/19位タイ)、9点(4年次/8位タイ)と2桁にも届いていない。 当時の状況についてインタビューで以下のように語っている

——個人として結果が出なかった時期もあったが、どのようなことを考えていただろうか 基本的にはいつも通りやろうと思っていたが、なかなかモチベーションが上がらない時期もあったし、怪我もしてピッチに立てないときもすごい苦しんだりしてて。そのなかでもまずはチームのためにと考えながらやっていて、サッカー以外の面で特にFWの選手に声をかけて、シュート練習を手伝ったり、聞かれたことに答えたり、アドバイスをしながら、自分もこうしようとか、色々と考えられたので、良かったと思う。

出典: CSPark

チームのエースであり、当時の大学サッカー界を代表するフォワードとして知られていたことからこの結果は意外なものだったかもしれない。しかし、大学最後の大会である全日本大学サッカー選手権大会では4試合で3ゴールを決めチームの日本一に貢献し、大会のMVPにも選ばれるなど、大学サッカーを最高の形で終えることになった。
富山選手はサッカー人生で最も影響を受けた人物として早稲田大学の古賀聡監督をあげている。その理由として人間的に成長することができた点をあげていて、大学卒業時には今の自分があるのは古賀監督のおかげと語っているだけでなく、プロ入り後も影響を受けた人物として古賀監督をあげていることからもその影響は非常に大きなものだったと考えられる。

これからの活躍に期待!プロ入り後の成績

早稲田で日本一に輝き大宮アルディージャ入りという最高の形でのプロ生活スタートとなった富山選手。当然ながら周囲の注目を集める。
1年目は出場したリーグ戦26試合のうちスタメン5試合、途中出場21試合と比較的出場機会には恵まれたが、得点は3点にとどまる。2年目はスタメンの回数こと増えたもののトータルで15試合に出場、ゴール0とフォワードとしては悔しいシーズンを過ごす。やはり成績を残せないと出場することができないのがプロの世界。3年目となった2015年はスタメン4試合、途中出場8試合の12試合の出場で1ゴールと、プロ入り後は全くと言っていいほど満足のいく成績を残せていなかった。
しかし、そんな富山選手に転機が訪れたのが2016年シーズン。3年間過ごしたアルディージャからサガン鳥栖に移籍すると、出場機会が増えシーズンを通して25試合に出場し5点とこれまでの最高得点を記録する。富山選手はサガン鳥栖入団時にチームのスタイルが自分にあっていると語っていることからも、ここからの得点量産に期待したいところだ。

フォワードとして得点を積み重ねた先に代表がある

富山選手はこれまで、高校、大学と年代別の日本代表に選ばれてきた。プロ入り時にはフル代表を目指したいとインタビューに答えており、フル代表に選出されることは富山選手にとっては大きな目標であろうと思われる。しかし現在の成績では代表に選ばれる選手ではないかもしれない。
それでも、2016年鳥栖に移籍し、復調の兆しが見え始めた富山選手。鳥栖には日本代表を経験している同じフォワードの豊田陽平選手が所属している。2017年3月現在、その豊田選手とともにJリーグでは開幕から第3節までスタメンとして出場している。
まだ、得点こそないものの、移籍2年目、自身のスタイルにあっているという鳥栖でどのような結果を残してくれるのだろうか。クラブで点を積み重ねればその先に代表が見えてくるはずだ。ぜひ富山貴光選手に引き続き注目してみてほしい。