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日本の女子高校生ゴルファーは世界を席巻できるのか

2017 5/17 09:55hiiragi
AI MIYAZATO
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朴セリ世代と宮里藍世代

2017年日本女子プロゴルフツアーも始まり、週末には熱い優勝争いが繰り広げられている。そんな中、女子プロゴルファーに交じって、初々しい戦いで目を引く、女子高校生ゴルファーたちの人数がめっきり多くなった。そして彼女たちは、参加するだけではなく、上位に顔を出して、優勝争いに加わりそうな勢いだ。
実際、2014年4月のKKT杯バンテリンレディスオープンで優勝した勝みなみ(かつみなみ)選手、2016年の日本女子オープンで優勝した畑岡奈紗(はたおかなさ)選手は女子高校生だった。

女子高校生がここまで強くなった背景には、宮里藍選手の存在がある。2003年一人の女子高校生ゴルファーが、プロのトーナメントで優勝したのだ。そしてプロに転向、一躍時の人となった。当時、小学入学前の子供を持つ親達が、ゴルフを習わせたとしても不思議ではない。その時の子供たちが今高校生となり、最強高校生ゴルファーを形成しているのだ。

現在世界を席巻する韓国女子ゴルフ界で活躍している選手たちは、1998年の朴セリ選手の全米女子オープン制覇を見てあこがれてゴルフを始めた世代だ。5年遅れで日本女子ゴルフ界が世界を席巻するのかもしれない。

恵まれた環境

現在は女子高校生ゴルファーが育ちやすく、活躍しやすい環境にある。ジュニア向けのゴルフスクールやジュニア向けゴルフ大会も数が多くなった。中学、高校に進むと、レベルに合したレッスンや競技会が準備されている。クラブ活動にゴルフ部を取り入れる中学、高校も多くなった。日本ゴルフ協会や日本LPGAのサポート体制も万全を極めている。

日本ゴルフ協会ではナショナルチームを結成、世界に通用するトップアマチュアの育成に力を注ぎ、多くの高校生ゴルファーが選出されている。日本の代表として国際大会に参加できる機会をつかもうと、自ずと練習にも身が入る。
日本LPGAの試合数の多さも、女子高校生ゴルファーに活躍の場を提供した。2017年の、日本LPGAのトーナメント数は、賞金ランキング対象トーナメントが38試合予定されている。この試合数は3月初旬から11月中旬まで、ほぼ毎週行われる日程になる。これにステップ・アップ・ツアーが21試合開催される。こちらの大会にも高校生ゴルファーの出場機会は与えられるのだ。一部アマチュアが参加できない試合もあるが、年間70試合近いフィールドが与えられていることは確かだ。

沖縄期待の高校生新垣比菜(あらかきひな)選手

2017年日本LPGA開幕戦ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントには5名のアマチュアが参加した。その中の3名は高校生で1名は中学生だった。
この大会は毎年本選出場をかけたアマチュア大会を開いており、2017年が21回目になる。出場資格は、沖縄県在住または沖縄県出身の女性アマチュアプレーヤーだから、誰でも出場できる。今回は225名が出場して4名が本選に進出した。残り1名は特別推薦された新垣比菜選手だった。

新垣比菜選手は特別推薦されるだけあって、経験豊富な高校生だ。この大会にも5年連続6度目の出場となり、今回で5年連続ベストアマを獲得した。興南高等学校に在籍、ドライバーの平均飛距離は250〜260ヤードの飛ばし屋だ。ゴルフは8歳から始め、地元のジュニア大会で活躍する。
2014年には沖縄ジュニアゴルフ選手権で優勝すると、全日本サンスポアマチュアレディースゴルフトーナメントでも優勝して、2015年にはプロのステップアップツアーラ、シンクニンジニアRKBレディースでも優勝を飾る。2016年には日本ジュニアゴルフ選手権競技 女子15歳〜17歳の部で優勝をした沖縄県期待の高校生だ。

日本アマチュアゴルフランキング1位高橋彩華(たかはしさやか)選手

日本ゴルフ協会では、日本アマチュアゴルフランキングを発表している。このランキングはゴルフの総本山R&Aが制定した世界アマチュアランキングを参考に、日本ゴルフ協会が作ったもので、過去1年間の対象競技をポイント化してランキング化したものだ。

対象競技には日本ゴルフ協会主催のアマチュア大会や、日本LPGAのトーナメント、国際競技大会などが含まれている。更新が数か月に一度のため、リアルタイムとはならないが、ある程度の指標としてみることはできそうだ。

その日本アマチュアゴルフランキング、2016年11月11日付けの女子ランキング1位は高橋彩華選手だった。
高橋彩華選手は新潟県 開志国際高等学校の3年生。10歳からゴルフを始めドライバー平均飛距離は240ヤード、ショートアイアンを得意としている。2011年、2013年、2015年に新潟県ジュニアゴルフ選手権で優勝、2016年にはトゥルービジョン国際ジュニア選手権、新潟県知事杯などで優勝を重ね、2016年日本女子アマチュアゴルフ選手権競技で、畑岡奈紗選手に競り勝ち優勝を飾った。日本女子オープンゴルフは、予選を通過して37位タイだった。

全米女子オープンゴルフ山口すず夏選手

2017年日本LPGAツアー第3戦Tポイントレディス ゴルフトーナメントには、5名のアマチュアが出場して、そのうち4名は高校生だった。予選を通過した高校生は、山口すず夏選手と皆吉愛寿香(みなよしあすか)選手の2人だ。

山口すず夏選手は神奈川県出身で東京の共立女子第二高等学校に通う高校生だ。ゴルフは7歳のころから始め、ドライバー平均飛距離は240ヤード、日本アマチュアゴルフランキングは40位だ。2013、2014年と年神奈川県アマチュアゴルフ選手権12〜14歳の部で優勝すると、2015年には全米女子オープンゴルフ選手権の日本地区最終予選で2位に入りプロ5名と共に本選出場を果たした。当時14歳の中学生で、日本人史上最年少出場だった。2016年は日本女子オープンに出場するも予選落ちだった。

一方、皆吉愛寿香選手は鹿児島県の神村学園高等部に通う高校生だ。10歳のころからゴルフを始め、ドライバー平均飛距離は240ヤード、得意クラブはアイアンだ。2012、2013年と鹿児島県ジュニアゴルフ選手権に優勝、2014年には鹿児島県民ゴルフ選手権で優勝した。2017年Tポイントレディスでは初日69で7位タイにつけ、注目を集めた。