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すべてのワザの基本!ボクシング「ジャブ」の名手5人

2016 10/12 03:34
ボクシング ジャブ
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Photo by Gabriel Georgescu/ Shutterstock.com

ボクシングの試合開始のゴングが鳴ると、選手はまず互いに「ジャブ」を打ち合う。 これは、ジャブによって自分と相手のコンディションや距離感をはかるため。ジャブはボクサーにとって最も大事な基本ワザなのだ。 今回は世界中の有名ボクサーの中からとびっきりのジャブの名手をご紹介する。

重く、硬く、速いパワージャブ!【アイク・クォーティー】

ガーナ出身のアイク・クォーティーといえば、WBA世界ウェルター級チャンピオンに輝いた経歴を持つ実力者。特に「ジャブといえばクォーティー、クォーティーといえばジャブ」と言われるほど、彼のジャブは世界トップレベルの威力を持っている。 そのパンチは、速さはもちろんのこと、重く、鋭く、硬いジャブであるため、ジャブだけで相手選手をKOしてしまった試合もあるほどだ。
彼のジャブがあまりにも強力かつ正確であるため、並みのプロボクサーでは近づくことすらできないと言われた凄まじいジャブだ。

世界最高の技術が放つ超高速ジャブ!【オスカー・デ・ラ・ホーヤ】

「ゴールデンボーイ」の愛称を持つメキシコ系アメリカ人ボクサー、オスカー・デ・ラ・ホーヤ。言うまでもなく、ボクシングの歴史で成績と興行の両方で一番成功した世界チャンピオンだ。アマチュアではバルセロナ五輪で金メダリストとなり、プロとしては史上初の6階級制覇を成し遂げた。
オスカー・デ・ラ・ホーヤの繰り出すジャブは、とにかく速く、まるでかみそりのような切れ味を持っている。ジャブで相手の動きを封じ、世界最高と言われるコンビネーション・パンチでことごとく相手をマットに沈めてきた。

長身から放たれる鉄のハンマージャブ!【ウラジミール・クリチコ】

ウクライナの世界チャンピオン、ウラジミール・クリチコといえば、あのマイク・タイソンをもしのぐ成績を残したヘビー級世界チャンプ。身長198cmという巨漢に似合わず、パワーだけにとどまらない技とスピードを兼ね備えていた。
特にジャブの破壊力は凄まじく、ジャブを一発くらっただけで脳震盪を起こした相手もいるほど。クリチコのジャブの特徴は「無駄打ちをしない」ということ。狙い済ませて、ライフル銃のようなジャブを放ち、相手の動きを止めてしまう。

アマチュア仕込みの精密ジャブ【フェリックス・シュトルム】

フェリックス・シュトルムはドイツのミドル級世界チャンピオンだ。アマチュア時代から堅実な試合巧者として知られていたシュトルムは、122戦113勝という輝かしい成績を引っさげて2001年にプロデビュー。守備をきっちり固めながらポイントを重ねるアウトボクシングを武器に、世界チャンピオンの座にのぼりつめた。
シュトルムのジャブは、まさにアマチュア仕込みの安定感抜群のパンチ。ガードをがっちり固めた状態から正確無比な高速ジャブが飛んでくるので、相手は不用意にパンチを打つことができない。
また、どんな体勢からジャブを打っても決して体の軸がぶれないため、相手にカウンターの隙を与えることなくポイントを重ねることができた魔法のようなジャブだ。

歴史をつくった縦横無尽のジャブ!【ファイティング原田】

最後にご紹介するのは、日本のボクシング史を切り開いたファイティング原田選手。日本人選手として初めて2階級制覇を成し遂げた偉大なボクサーだ。
原田選手のジャブは、その時代を反映してか、とにかく手数にこだわったパンチだった。相手との距離感計測や相手の出鼻をくじいて動きを封じるといったジャブの基本的な役割にとどまらず、相手の頭部やボディにもどんどんジャブを打ち込んでダメージを蓄積させるなど、とにかくジャブをとことん使いまくるスタイルだった。
そのジャブ使いの上手さから、あのマイク・タイソンのトレーナーが「ジャブを勉強するなら原田の試合を見ろ」と、タイソンに原田選手の試合映像を何度も見せたという逸話が残っている。

まとめ

ボクシングファンにとって、実は最も意見の分かれるポイントが「ジャブの役割」かもしれない。ジャブをたくさん打って相手の動きを止めるスタイルは、「ポイント稼ぎを目的とした、消極的でつまらないスタイル」という評価も根強いからだ。 でも、名だたる世界チャンピオンたちは、例外なくジャブの名手ばかり。ボクシング観戦初心者の方は、ジャブに注目して試合をチェックしてみると、いろいろな発見ができる。