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日本を飛び出しアジアに広がるスラムダンク人気

2017 4/12 12:06吉田 和喜
バスケットボール
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Photo by dotshock / Shutterstock.com

日本でバスケ人気の火付け役となった少年漫画「スラムダンク」。1990年代、当時まだ日本ではマイナースポーツだったバスケットボールを、一気にメジャースポーツに押し上げました。そんなスラムダンク人気は日本だけにとどまりません。日本からアジアまで広がるスラムダンク人気をご紹介します。

スラムダンクとは

「スラムダンク」は井上雄彦氏による高校バスケットボールを題材にしたスポーツ漫画。1990年から1996年まで少年雑誌に掲載されていました。漫画の人気を受けてアニメ版も作成され、1993年から1996年まで放映されました。
不良だった主人公・桜木花道が、高校入学と共にバスケットボールに出会い、仲間とともに成長し挑戦する様を描いた青春バスケットボール漫画です。今でこそバスケットはスポーツ漫画の定番となっていますが、当時はまだマイナースポーツ扱い。漫画のテーマとしてはタブー視されていました。そんなバスケットを題材にした漫画が大ヒットすることで、日本におけるバスケットボールに対する認知度は一気に上がりました。

日本で伝説的セールスを達成

スラムダンクは全31巻。大ヒットした漫画としては比較的連載が短いと言えます。それにもかかわらず発行部数は1億2000万部と記録的な数字となっているほか、初版発行部数250万部は当時の最高記録でした。
アニメ版のスラムダンクの人気も高く、全101話のアニメ版で最高視聴率は21.4%を記録しました。初代スラムダンクのオープニング曲「君が好きだと叫びたい」を歌ったBAADはデビューしてわずか数カ月ながら、CDセールスで37.6万枚を売り上げ、同曲が同バンド最大のヒット曲になりました。当時スラムダンクに関わるものすべてがヒットする、そんな社会現象が日本では起きていました。

世界中で愛されるスラムダンク

スラムダンクの人気は日本だけにとどまらず世界中で愛されています。漫画は英語・中国語・スペイン語・韓国語に翻訳されました。そしてアニメ放送もアジアにだけ注目しても、中国・台湾・韓国などで放映され、アジアの多くの人たちがバスケットボールを始めるきっかけを作りました。
最近では作者の井上雄彦氏が、日本スペイン交流400周年を記念してスペイン交流の親善大使になるなど、スラムダンクの人気がワールドワイドであることが分かります。

スラムダンクからプロが生まれる!?

スラムダンクの影響力は特にアジアですさまじいものでした。例えば中国でバスケットボールは3大スポーツに挙げられていますが、その火付け役となったのがスラムダンクでした。海賊版コミックが最初出回り人気が出たことで、1996年よりアニメ放映も開始されました。当時、中高生ではバスケットボールに夢中になる若者が急増し、バスケットコートの周りにはいつも人があふれているような状況でした。
そしてちょうど1995年から中国ではプロバスケットボールリーグがスタートし、スラムダンクの影響を受けた若者たちの中からプロ選手が生まれるようになりました。その中には2002年にNBAに渡ったヤオミン選手もいます。

今も続くスラムダンクの影響力

スラムダンクの放送が終了してから20年以上がたちますが、いまだにスラムダンクの影響力は偉大です。作者の井上雄彦氏はバスケットボールへの感謝を込めて「スラムダンク奨学金」制度を開設。日本の優秀な選手を本場アメリカでバスケットボールの経験がつめるよう援助しています。
そしてその初代スラムダンク奨学生である並里選手が、2009年についにプロ選手となりました。2005年福岡第一高校の司令塔として全国制覇を経験した並里選手は、卒業後に奨学金を活用して渡米、2009年まで修業し、帰国後に栃木と契約しました。スラムダンクから今でもプロ選手が生まれていることが分かります。

まとめ

アニメ放映当時、日本中で大流行となったバスケットボール漫画「スラムダンク」。その影響力は日本にとどまらず、アジアをはじめとした世界中で、バスケットボール人気の火付け役となりました。今後、バスケットボールの試合を観戦するときには、そんなスラムダンクの影響でプロになった選手たちの活躍に注目しましょう。