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数字でみる2019年の中日 歴代でも屈指の守備陣、救援防御率は1.6も改善

2019 12/27 06:00勝田聡
中日・京田陽太
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ⒸSPAIA

浮き沈みの激しかった1カ月

2019年シーズンの中日は最終盤まで3位争いに加わっていたが、最後は阪神の快進撃もあり、前年と同じく5位でシーズンを終えた。結果的に68勝73敗5分の借金5だったが、浮き沈みが激しかった。とくにセ・パ交流戦中の6月21日から7月27日まではまさに激動。5連勝、4連敗、8連勝、8連敗と大きな連勝、連敗を繰り返していたのである。

与田剛監督はシーズン終了後に「いろいろなものが重なったと思う」とコメント。また、連勝時に浮かれることなく、連敗時にも必要以上にシュンとすることもなかったという。しかし、この連勝の後の連敗が痛かったのは事実としてあるはずだ。

2019年シーズン中日各種成績


打撃面での主な数字を見ると90本塁打はリーグワースト、563得点はリーグ5位と一発が少なく、得点も少なかったが、打率.263はリーグトップ。決して打てなかったわけではない。広いナゴヤドームだけに本塁打が少ないのは致し方ないにせよ、安打が得点に結びつかなかったようだ。

一方の投手の数字を見ると、防御率3.72はリーグ3位。544失点はリーグ最少と結果を残している。とくに防御率は前年リーグワーストとなる4.36だっただけに、飛躍的に向上したことになる。被本塁打146本は本拠地を考えるとやや多いかもしれないが、それでもリーグ4位となっており、まずまずといっていいだろう。

打率は高いものの…出塁率低く三振も多い

打撃面では、前述の通りチーム打率がリーグトップの数字だった。安打数も前年から引き続いてリーグトップとなる1265本を記録している。本塁打こそ少ないものの、安打は生まれているのである。一方で349四球はリーグワースト。出塁率.317もリーグ5位となっており、安打数は多いものの、出塁自体は多くないという結果となった。

個人では、ダヤン・ビシエド、阿部寿樹、高橋周平、京田陽太、大島洋平の5人が規定打席に到達した。内野4人が規定打席に到達したのは、セ・リーグでDeNAと中日の2球団だけ。ちなみに中日は4人とも内野での守備にしかついていないのに対し、DeNAの場合、二塁のネフタリ・ソトは外野での起用も多く(二塁55試合/外野98試合)、内野専任ではなかった。

救援防御率が約1.60も改善

投手陣の数字は大きく改善した。チーム防御率は前述のとおりだが、とくに救援防御率(4.93→3.32)が大きく改善した。開幕から抑えを任された鈴木博志こそ苦しんだが、ジョエリー・ロドリゲス(64試合/防御率1.64)、ライデル・マルティネス(43試合/防御率2.66)の両外国人選手がそろって結果を残した。また、藤嶋健人も開幕から21試合連続無失点と気を吐いている。

その投手陣を支えた要因のひとつに守備力がある。45失策はリーグ最少であり、2004年の中日と並ぶセ・リーグタイ記録でもある。失策が最も多かった阪神の102と比べると半分以下だ。人工芝のナゴヤドームと土の甲子園球場を単純比較することはできないが、投手陣にとって心強かったことは間違いない。また、守備率.992は2017年シーズンにソフトバンクが記録した.993には及ばなかったものの、セ・リーグ新記録となった。

中日は広いナゴヤドームを本拠地としているだけに、本塁打は望みにくい。その球場特性を理解した上で、どのようなチームをつくっていくのかがカギとなる。中継ぎ投手陣を中心とした投手と守備力をベースに、来季はどこに上積みを求めるのだろうか。与田監督の判断に注目したい。