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セ・リーグの人気はどれくらい?観客動員数を検証!

2016 9/23 20:08
人気のセ 実力のパ
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Photo by Glen Jones/Shutterstock.com

日本のプロ野球は「人気のセ」「実力のパ」と言われてきた。セ・リーグの方が比較的有名な球団が多いことからこのような表現がつけられたのだろうが、セ・リーグの実際の人気はどのくらいあるのだろうか。観客動員数から検証してみた。

2004年までの観客動員数は概数発表だった

日本プロ野球機構(NPB)が発表しているプロ野球の観客動員数は、1950年の年間421万人が最も古い記録だ。ここから動員数は右肩上がりに上昇していき、2004年には6倍近い2445万人に達した。
しかし、翌05年には急に450万人も減少した。この理由は2つ考えられ、球界再編騒動に対するファン離れと観客動員の実数発表が原因とみられる。04年までの観客動員数は実数ではなく概数で発表されており、少し空いているくらいなら「満員」と判断されることもあった。
05年以降はできるだけ厳密に数えた上での数となったことで、いい加減になっていた数字が削れて減少の発表となった。

観客動員数ではなく動員率に注目

では、プロ野球全体の動員数からは一度離れて、球団別の動員率を比較してみよう。その前に、なぜ観客数ではなく動員率を比較するのかというと、それぞれの球団のホーム球場は観客収容数が異なるためだ。キャパシティーが多い球場で半分程度埋まっているのと、キャパが少ない球場で満員が同じ数では比較の対象にならないため、それぞれの球場をどれだけ埋めているのかが球団の人気度を図るわかりやすいバロメーターとなるのだ。

観客動員率上位6球団のうち4球団がセ・リーグ

甲子園プロ野球データサイト「Baseball LAB」のデータを参考に12球団のホーム試合における観客動員率(2010~14年)を見ると、トップの動員率は甲子園(阪神)の81%で、続いて東京ドーム(巨人)とヤフオクドーム(ソフトバンク)の79%、ナゴヤドーム(中日)が74%、マツダスタジアム(広島)は73%と続く。12球団中、上位6位のうち4球団がセ・リーグの球団なのだ。最下位は神宮球場(ヤクルト)と京セラドーム(オリックス)だった。

熱い固定ファンが観客動員数を大きく左右する?

前述のセ・リーグ球団の観客動員率とリーグ順位を連動させて比較してみよう。動員率81%の阪神は、2010年から2、4、5、2、2位の順だった。同様に巨人(79%)は3、3、1、1、1位で、中日(74%)は1、1、2、4、4位だ。中日と僅差の広島(73%)は5、5、4、3、3位だった。大きく数字を落として横浜(61%)は6、6、6、5、5位で、最下位のヤクルト(50%)は4、2、3、6、6位だった。
強いチーム=観客が多い、というイメージを持ちがちだが、参考データの5年間では一度も優勝していない阪神、広島の観客動員率は上位にいることから、勝敗だけではない熱い固定ファンが動員率、ひいては動員数を大きく左右している実態が読み取る。

セ・リーグの最下位を争ってきた2球団の人気が急上昇

近年のセ・リーグ球団の中で特に人気が上がってきたのが広島とDeNAだろう。この2球団は、かつては常にセ・リーグの最下位争いを演じてきた。しかし、DeNAは親会社の変更による経営改革や知名度の高い中畑清監督の起用が奏功。広島も2013年にクライマックスシリーズに初進出するとともに「カープ女子」ブームも巻き起こり、両球団は伸び盛りとなった。
経営改革やチームを変えるきっかけをつかむことで新たなファンが増えることを示した典型例だろう。

まとめ

観客動員数はファンの多さとほぼ比例するし、資金力にも繋がるのでチーム力にも表れてくるだろう。ただ、資金に乏しいチームでも経営努力によってファンを拡大することができることを近年のセ・リーグ球団は教えてくれている。頭角を現してきた広島やDeNAが今後、どのような成長を遂げるのかに注目しよう。