「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【引退選手特集】2017年シーズン終了時点

2017 12/27 16:02データスタジアム
野球ボール,グローブ,バット
このエントリーをはてなブックマークに追加

“走れる”強打の内野手 井口資仁

 2017年、惜しまれつつも現役引退を決めた井口資仁。実績はもちろんのこと、その人間性を評価する声も高く、日米で多くの選手やファンの心をつかんできた。今回は、打撃の変化に注目しながら、プロ生活を振り返る。

1997~2017年:打撃成績

※1997~04年の所属はダイエー
※05~08年はMLB
※09~17年はロッテ


 まず、打撃成績を大まかに5つの期間で分けてみたい。1997年にダイエー(現ソフトバンク)に入団した井口。まだ打撃は粗く、守備もショートを守っていたが、二塁手に転向した2001年からは、“走れる”強打の内野手として名をはせた。
 その後は05年にメジャー挑戦を果たすと、同年はホワイトソックスの世界一に貢献。09年の日本球界復帰後から13年までは、いずれも規定打席に到達し、中心打者として活躍を見せた。14年以降はベンチを温める場面が増えるも、16年5月14日には球団史上最年長でのサヨナラヒットを記録するなど、その千両役者ぶりを発揮している。

2001~04年:長打の右方向割合

 井口といえば、ライト方向への強い打球を思い浮かべる方も少なくないだろう。01年にも30本塁打を放つなど才能の一端を見せたが、一つの転機となったのが、03年にダイエーのスコアラーを務めた金森栄治氏(18年よりロッテ一軍打撃コーチ)との出会いだ。
 同氏に打撃理論を伝授されると、このシーズンは長打数が増加。同年と04年は右方向が占める割合も上昇し、打率も3割台に乗せるなど、ポテンシャルを完全に開花させた。

1997~2017年:四球割合・出塁率

※四球割合=四球÷打席


 渡米直前は主に中軸を担っていたが、ホワイトソックスに移籍した05年には「2番打者」を託された井口。そこで首脳陣の起用に応えると、その後は09年に日本球界復帰を果たした。ロッテ加入後のデータで、際立つ数字の一つが、四球割合である。
 NPBでの打率は、ダイエー時代が.271でロッテ時代は.270とほぼ変わらないが、四球が増えたこともあり、ロッテ移籍後の出塁率は渡米前を上回った。このような成績を残せた一因には、メジャーでつなぎ役を全うした経験があったのかもしれない。

 良き指導者に出会い、求められる役割に柔軟な対応を見せ続けた21年間の現役生活。ロッテの新指揮官となって迎える18年は、チームをどのように再建していくのか。変化を恐れずに成功を収めてきた、青年監督の一挙手一投足に注目したい。