「得意な別のボールで勝負する」池田 駿
※文章、表中の数字はすべて2017年シーズン終了時点
即戦力の期待を受け、昨年のドラフト4位で入団した巨人・池田駿。1年目の今季は開幕から救援で結果を残すと、交流戦では2試合のみながら先発も経験。
コンディション不良のため、6月中旬から9月上旬までは一軍を離れたものの、山口鉄也や森福允彦らが本調子ではない中、貴重な左のリリーフとしてブルペン陣を支えた。
そんな池田のピッチングは、主に3つの球種で成り立っている。最速148キロのストレートに、鋭く曲がるカットボール、そしてブレーキの利いたチェンジアップだ。
今季31試合あった救援のマウンドでは、これらのボールがいずれも優秀な被打率を記録しており、防御率2.08という好成績につながったといえる。
※ストライク率=ストライク÷投球数
※ストライク…見逃し、奪空振り、ファウル、インプレー打球
※リーグ平均は救援時の成績を対象
だが、被打率は総じて良好だったものの、球種ごとの得手不得手は明確に表れていた。特に顕著なのがストライク率で、カットボールやチェンジアップがリーグ平均を上回ったのに対し、ストレートは45.9%にとどまったのである。
これは、今季NPBでストレートを100球以上投じた、どの救援投手よりも低い数値だ。池田自身が「今年はストレートが全然ダメだった」と明かしていることからも、直球でカウントが稼げない点は、今後の課題として挙げられるだろう。
もっとも、池田はこの課題に、シーズン中から対策を講じていた。一軍に再昇格してからは、ストレートの割合を減らし、代わりに主要3球種では最もストライク率が高いカットボールを増やしたのである。
思うように操れないストレートに対し、ある種の見切りをつけたともいえよう。
※与四球率…9イニングあたりの与四球数
これが功を奏したのか、10回2/3という少ないイニングではあるものの、9月以降は与四球率が2.53に良化。投球の安定感が増し、無失点のままシーズンを終えた。苦手なボールは苦手と割り切り、得意な別のボールで勝負する。
池田はプロで戦うために、合理的な取捨選択をしたのかもしれない。
とはいえ、本人が「終盤は変化球で、まぐれで抑えていた」と語っている通り、9月からの投球はいわば急場しのぎ。1年を戦い抜くのであれば、使える球種は多いに越したことはないだろう。
実際に、今オフの池田は秋季キャンプで直球主体の投げ込みを行うなど、課題克服にいそしんでいる。期待の左腕はレベルアップした姿を見せてくれるのか、来季のピッチングに注目したい。
企画、監修:データスタジアム、執筆者:三谷 翔平
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