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2010年本塁打王の復活!Tー岡田選手

2017 8/25 10:07cut
野球、ボール、バット
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浪速の四天王と呼ばれた高校時代

大阪府出身の岡田貴弘選手(登録名:T-岡田)は大阪府の名門である履正社高校へ進学。1年夏から4番打者としてチームを引っ張っていた。高校生活では甲子園出場を果たすことはできなかったものの、全国的に名前が知られる存在でもあった。
ドラフト情報誌などでは履正社高・岡田選手、大阪桐蔭高・辻内崇伸選手(元巨人)、平田良介選手(中日)、近大附属高・鶴直人選手(元阪神)らとともに「浪速の四天王」と注目を浴びる。また、岡田選手はスラッガータイプだったこともあり、松井秀喜選手(元ヤンキース)になぞらえ「浪速のゴジラ」とも呼ばれていた。

2005年のドラフト前にプロ志望届を提出し、ドラフト会議に臨んだ岡田選手。高校生ドラフトでは辻内選手の抽選を外したオリックス・バファローズが岡田選手を指名。ハズレではあるが1位指名でプロ入りを果たすことになる。

平田選手、鶴選手も中日、阪神にそれぞれ1位指名されており、「浪速の四天王」はそろってドラフト1位指名選手としてプロの世界で戦うことになったのだ。

プロ入りを果たした岡田選手は1年目となる2006年に3試合ではあるが一軍デビュー。プロ初安打も放っている。期待をされていたものの、2007年、2008年と2年間は二軍暮らしが続き、一軍での出場機会には恵まれなかった。

登録名を変更した2010年に本塁打王獲得

T-岡田選手は、本名の「岡田貴弘」から「T-岡田」へと登録名を変更した初年度となる2010年にブレイクを果たす。前年の2009年はプロ初本塁打を放つなど43試合に出場したが、打率.158、7本塁打、13打点と確実性に欠けていた。

心機一転臨んだ2010年は、開幕戦で6番・一塁として先発出場。しかし、2打席連続三振などノーヒット。続く2戦目も4打数ノーヒットと安打が出なかった。開幕3戦目の第1打席で初安打を記録するも11打数1安打と結果を残せずスタメンを外れてしまう。

3月30日の日本ハム戦から3試合連続で本塁打を放つなど、調子を上げたかに見えたが打率は伸び悩んだ。4月中は打率1割台から2割前半を行き来する。5月に入ると負傷で一時、二軍落ちを経験したが、14試合で打率.404(52打数21安打)、4本塁打、14打点と覚醒。6月に調子を落としたものの交流戦でMVPを獲得。初めてオールスターゲームにも出場を果たした。

7月、8月に2カ月連続で打率.300をマークし、シーズンを通して129試合に出場し打率.284(461打数131安打)、33本塁打、96打点の成績を残し本塁打王に輝いた。2016年終了時点でTー岡田選手にとって唯一の打撃タイトルとなっている。

本塁打王獲得後は伸び悩む

2010年に本塁打王を獲得したT-岡田選手は、2011年から中心選手としての期待が掛かり開幕戦から4番を任された。イ・スンヨプ選手との兼ね合いもあり、全試合に4番を任されたわけではなかったものの、チーム最多となる124試合で4番に座っている。しかし前年の本塁打王ということもあり、マークが厳しくなった。

2年連続のオールスターゲーム出場を果たし、第3戦で敢闘賞を獲得したものの、シーズンを通しては打率.260(492打数128安打)、16本塁打、85打点と打撃3部門の成績が全て悪化。期待を裏切る形となった。

2012年以降も毎年、大砲候補として期待を集めたものの故障もあり、数字が伸びないシーズンを送っていた。その間に、打撃フォームも変化を繰り返し「すり足打法」「ノーステップ打法」「一本足打法」と様々なフォームを試している。

このように、2010年に22歳で本塁打王を獲得したものの、伸び悩んでいたT-岡田選手の転機が2016年シーズンだった。

復活の兆しが見えた2016年シーズン

2015年シーズンは故障もあり登録抹消を3度経験。年間を通じて105試合の出場にとどまったT-岡田選手。打率.280(389打数109安打)、11本塁打、51打点の成績でシーズンを終え、規定打席にも到達しなかった。

2016年シーズンは再起を賭けて臨んだものの、不振でシーズン序盤に登録抹消。スタートダッシュに失敗した。しかし、4月29日に一軍復帰すると復帰2試合目で4番へ昇格。4番2試合目から2試合連続本塁打を放つなど調子を取り戻す。5月は打率.356(87打数31安打)、9本塁打、20打点をマークし復調への足がかりとなった。

6月以降も安定した成績を残しシーズン20本塁打を達成。復活を印象づけた。

またT-岡田選手は打撃だけでなく守備力の向上にも力を入れており、春季キャンプでは投手と同じブルペン投球を行ったほどだ。これは、外野から内野へ返球する際の送球技術を上げるために行ったものだ。ブルペン練習によりコーチも「球が強くなっていた」と成果を口にしている。

選手会長としてチームを引っ張っていく

2016年シーズンに2014年シーズン以来、2年ぶりとなる20本塁打を記録。2010年に並ぶキャリアハイの打率.284と復活の兆しが見えたT-岡田選手。シーズンオフの契約更改では2017年から2019年までの3年契約を結び、FAによる移籍を封印した。チームの中心であった糸井嘉男選手が、FAにより阪神へ移籍したこともあり、球団首脳陣、ファンはT-岡田選手の3年契約を大いに歓迎した。

また同時に、伊藤光選手から選手会長を譲り受けチームをまとめる役割にもなった。新選手会長就任にあたり「ぼくが1年間結果を残せばみんなもついてきてくれる。野球への取り組み方で引っ張っていければ」と抱負を語っている。2017年シーズンからは、チームの精神的支柱としての活躍が求められることになった。

2017年シーズンはオープン戦で打率.217、1本塁打、7打点の成績でスタートを切る。開幕戦で本塁打を含むマルチ安打、4月を打率.351、7本塁打、15打点の成績で開幕ダッシュに成功する。その後も安定して本塁打を記録し、前半戦で18本塁打を達成とキャリアハイの33本塁打(2010年)を更新する勢いだ。ロメロ選手、吉田正尚選手とホームラン打者がいる中で、T-岡田選手も本塁打王としての意地を見せている。

1996年以来のリーグ優勝へ向け、選手会長として、主軸打者として、チームを引っ張っていく。


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