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中日ドラゴンズが成し遂げた奇跡!あの劇的シーズンを振り返る

2017 7/10 10:25Mimu
>バッターⒸShutterstock.com
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Photo by Evgenii Matrosov/Shutterstock.com

巨人や阪神とならび伝統あるチームである中日ドラゴンズ。 中日の奇跡といえば、やはり2006年だろう。この年は劇的な出来事がたくさんあった。 この2006年の奇跡、そして軌跡を振り返っていこう。

満塁本塁打で相手エースを粉砕

2006年の中日はシーズン序盤から好調を維持していた。その流れをぐっと引き寄せたのが、ミスタードラゴンズこと、立浪和義選手の活躍だろう。4月7日、開幕6戦目の巨人戦でのことだ。この日は川上憲伸選手と上原浩治選手(現シカゴ・カブス)の両エースの投げ合いで始まった。2回に巨人に先制点を許してしまうものの、8回には福留孝介選手(現阪神タイガース)のソロで同点に追いつき、1-1のまま試合は9回裏へ。

しかしノーアウトから井端和弘選手がライト前への渋い打球を放つと、4番のタイロン・ウッズ選手が初球をレフト前へ、5番のアレックス・オチョア選手も内野安打を放ち満塁になる。ここで打席に向かったのは6番の立浪和義選手。2球目のフォークだった。振り抜いた打球は美しい放物線を描きライトスタンドへ。何とサヨナラ満塁本塁打で試合を決めてしまったのだ。これでチームは4連勝となり、最高の形でシーズンをスタートさせた。

41歳のベテランによるノーヒットノーラン

4月以降も好調で、8月にはマジックも点灯。このまま順調にいくかと思われていた。しかし、後半から阪神がぐんぐん追い上げてくる。8月の最終カードでは甲子園で3タテを食らい、最大9あったゲーム差もあっという間になくなってしまった。

しかし9月16日、長年チームを支えてきたベテランがチームを救う。ナゴヤドームで行われた阪神戦、この日の先発は山本昌選手だった。この時すでに41歳、しかしベテランらしい円熟味のある投球を見せ、阪神打線をシャットアウトする。4回に森野将彦選手のエラーでランナーを出してしまうものの、それ以外のランナーは1人も出さず、何とノーヒットノーランを達成してしまったのだ。この快挙でチームの勢いはさらに増し、勝負の10月へと向かう。

マジック1で迎えた巨人戦

10月10日、マジック1で迎えた巨人戦(東京ドーム)だった。中日は4回表にタイロン・ウッズ選手のスリーランで先制するも、直後に先発の川上憲伸選手が二岡智弘選手にソロ、7回には小久保裕紀選手、高橋由伸選手の2者連続ソロホームランを浴びてしまい、同点に追いつかれる。ホームラン以外での失点はなかったものの、中日サイドも決め手を欠き、試合はそのまま延長戦へ入る。

しかし、延長に入っても中日の野手陣がピリッとしない。11回表、福留選手、タイロン・ウッズ選手の連続ヒットで一・二塁のチャンスを作るも、後続の森野選手が送りバントを失敗して得点ならず。しかし、巨人の攻撃も守護神・岩瀬仁紀選手を中心とする中継ぎ陣がしっかりと抑え、サヨナラ勝ちを許さず、試合は最終回となる。

ようやくもぎ取った勝ち越し点

迎えた12回表、このイニングに得点できなければ勝利はないという状況。相手投手はこの年の途中からクローザーを務めていた高橋尚成選手だった。そしてここから奇跡が始まる。まず先頭の谷繁元信選手がライト前ヒットで出塁すると、岩瀬選手は三振、荒木雅博選手も送りバント失敗でツーストライクまで追い込まれてしまうが、ここで放った打球は詰まりながらもレフト前へポトリと落ちる。ようやくツキが回ってきたのか、続く井端和弘選手も詰まりながら三遊間を抜けるヒットを放ち、1死満塁で3番の福留選手へ。

異様な緊張に包まれながら福留選手が打席に入る。初球の内角ストレートはボール、そして2球目のスライダーは空振り。1球1球に球場は湧き上がる。1ボール1ストライクからの3球目、高橋尚成選手の投じた141キロのストレートを打ち返し、打球はセンター前へ。均衡を破る値千金の勝ち越しタイムリーを放ったのだ。

優勝を決定づける満塁本塁打

続くバッターは3回にホームランを放っているタイロン・ウッズ選手。5球目のスライダーだった。外角の低めの球を長い腕を使って上手くすくい上げると、ボールはそのままレフトスタンド中段へ。なんと47号満塁本塁打が飛び出したのだ。

優勝を決定づけるこの1本に、球場もベンチも大盛り上がり。そしてホームインしたウッズ選手と抱き合った落合監督、その後ベンチに帰ってから涙を浮かべているシーンは、今でもファンの印象に残っている。 ちなみにこの47本目の本塁打は、同時に西沢道夫選手の持つ球団記録の46本を塗り替えるメモリアルな1本となった。

まとめ

満塁本塁打で始まり、満塁本塁打で終わる。2006年の中日は、まさに奇跡の年だった。 これを超えるくらいの劇的なシーズンが見られるのか、これからの中日に、ぜひ期待をしたい。