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甲子園で大ブレイクし西武のエースへ!菊池雄星選手

2017 6/30 12:56cut
野球ボール
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春のセンバツで152キロ!

岩手県花巻東高校出身の菊池雄星選手。その名が全国に知れ渡ったのは、2009年春のセンバツ甲子園だ。センバツ初出場を果たした、花巻東のエース菊池選手は、1回戦で9回無失点12奪三振の完封勝利をマーク。この試合で最速152キロを計測したことが、知名度アップのきっかけでもあった。2回戦の今宮健太選手(ソフトバンク)擁する明豊戦でも完封勝利を挙げる。
準々決勝の南陽工業戦では、6回から中継ぎ登板を果たし、4回を無失点の好投でチームをベスト4まで導いた。準決勝の利府戦で初めての失点を喫するが、5-2で勝利し決勝まで駒を進める。決勝では、今村猛選手率いる清峰高校と対戦。緊迫した投手戦の末に0-1で敗れ優勝とはならなかった。
この大会で菊池選手の活躍、そして152キロという球速が与えた衝撃は大きく、ドラフト候補ナンバーワンにまで上り詰めた。

夏の選手権は故障で投げ抜けず!

春のセンバツで準優勝に輝き、一躍注目の的となった菊池選手。夏の選手権岩手県予選を勝ち抜き、甲子園に戻ってくる。初戦の相手は、春のセンバツ決勝で戦った清峰を長崎県予選で下した長崎日本大学高校だった。
リベンジを果たすべく先発のマウンドに登った菊池選手だったが、2回に本塁打を浴び先制を許す。6回にも2点本塁打を浴び、0-3とまさかのビハインド。しかし、ここから花巻東は反撃を開始し、8-5で勝利する。菊池選手は、仲間に助けられての勝利となった。
2回戦の横浜隼人戦は本来の投球を披露し9回1失点、8奪三振で完投勝利。3回戦では東北高校相手に9回1失点、9奪三振、完投勝利と2回戦と同様に圧巻の投球を見せた。アクシデントが起きたのは、準々決勝の明豊戦だ。春からの再戦となったこの一戦。
菊池選手は先発登板を果たすものの、背中を痛め5回途中でまさかの降板。4-1とリードしていたが逆転を許してしまう。しかし、9回に追いつき延長戦へ持ち込むと10回に決勝点を挙げ、薄氷を踏む準決勝進出となった。
すでに満身創痍の菊池選手は準決勝でベンチスタート。序盤から中継ぎとして登板するも、適時打を浴び0.1回のみの登板に終わり敗退。菊池選手の夏は終わった。センバツ準優勝で挑んだ夏の選手権だったが、まさかの故障で後味の悪い幕切れとなってしまった。

ドラフト前にメジャー表明

菊池選手は甲子園での活躍もあり、2009年のドラフト1位候補として注目を浴び報道も加熱していた。その菊池選手がドラフト前にメジャー志望を表明。日米20球団と面談を行うことからも、本気度を窺わせてくれた。しかし、ドラフト直前に花巻東高校で記者会見を行いメジャー封印を宣言。指名された場合は12球団どこでもベストを尽くすと涙ながらに語っている。
これを受けドラフト会議では、埼玉西武ライオンズ、阪神タイガース、東京ヤクルトスワローズ、東北楽天ゴールデンイーグルス、中日ドラゴンズ、北海道日本ハムファイターズの6球団が1位で入札。抽選の末に西武が交渉権を獲得し、入団に至った。
1年目からの活躍も期待されたが、故障により一軍での登板は無く、初登板は2年目となる2011年だった。この年に10試合に登板し4勝1敗の成績を残し、翌年以降に期待を持たせてくれた。
ブレイクしたのは2013年ことだ。規定投球界には届かなかったものの、3完封を挙げる活躍を見せ9勝4敗、防御率1.92とローテーションの一角を担うようになる。しかし、ここから伸び悩み二ケタ勝利、規定投球回を達成するまでに時間を要している。

規定投球回到達も後輩の大谷選手に投げ負ける

2016年シーズン、岸孝之選手が故障により途中離脱。期待されていた2年目の高橋光成選手も、8連敗を喫するなど不調。規定投球回に到達する選手が不在となる危機に直面した。1950年に球団が誕生して以来、60年以上にわたり回避してきた規定投球回到達者「ゼロ」。この局面を救ったのは菊池選手だった。
6月半ばから8月頭までの1ヶ月以上を故障で離脱したものの、復帰後は6連勝を達成し、投球回数も積み上げていく。
そして、シーズン最終登板となる9月28日の日本ハム戦を迎えることになる。この試合は日本ハムに優勝がかかっており、多くのファンが球場へと詰めかけた。相手の先発投手は、後輩でもある大谷翔平選手。また、菊池選手はこの日までに137回を投げており、6回を投げきれば規定投球回に達することになる。
試合は、緊迫した展開が続き3回まで両チーム無得点、やっと動いたのは4回表だった。菊池選手が、レアード選手に本塁打を浴びたのだ。これで西武は、0-1と1点のビハインドとなる。しかし、菊池選手はここで崩れること無く、6回をこの1点に抑えマウンドを後にした。
先発として仕事を行い、規定投球回に到達したものの、チームは敗戦となり悔しい思いをした菊池選手。このシーズンでは自身初の規定投球回、二ケタ勝利を達成したが、大谷選手にはリベンジをしっかりと果たしたいところだ。

エースとしてチームを引っ張る2017年

2016年シーズンオフに、チームのエースであった岸選手がFA宣言を行い、東北楽天ゴールデンイーグルスへと移籍。菊池選手は、辻発彦新監督からもエースとしての期待をかけられ、新年早々に開幕投手として指名される。その開幕戦では、日本ハムを相手に7回1失点の好投で勝利投手に輝き辻監督の初陣を白星で飾った。
以降もローテーションを守り、4月21日の日本ハム戦では9回無失点、被安打1、12奪三振の完封勝利をマーク。エースの名に恥じない投球を見せており、岸選手の穴をしっかりと埋めている。
菊池選手は将来的なメジャーリーグを目指しており、早ければ2018年のオフにポスティングを利用しての移籍とまで報道された。球団に制度を利用させてもらうためには、最低でも3年間続けて結果を求められる。
過去の主なポスティングシステム利用者の直近3年間を見てみると、ダルビッシュ有選手は計45勝、田中将大選手は計54勝、前田健太選手は計41勝。各球団のエースクラスを基準とするならば、3年間で最低でも41勝は必要だ。菊池選手は2016年シーズンに12勝を挙げていることから、2017年、2018年シーズンで29勝が最低限となる。
この数字を菊池選手がクリアできると、チームも優勝争いを繰り広げることになるだろう。菊池選手が活躍し、メジャーリーグの舞台へ羽ばたく姿を見ることができるだろうか。エースとなった2017年シーズンの投球に注目が集まる。