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【球史に名を残した偉人達】NPB時代におけるイチロー選手の凄さ

2017 5/17 09:55cut
イチロー選手
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1994年に達成した歴史的偉業の210安打

イチロー選手は1994年開幕前に本名である鈴木一朗から『イチロー』へと登録名を変更しています。このときにイチロー選手と同じく登録名の変更を行ったのが佐藤和弘選手です。佐藤選手は『パンチ』へと変更しました。
イチロー選手の登録名変更は当時としては画期的であり、NPB史上初めて日本人選手で登録名を名前にした選手でもあるのです。
イチロー選手はこの登録名変更を行い心機一転となった年に一軍に定着。NPB史上初となる200安打を達成し最終的には210安打まで記録を伸ばします。当時のパ・リーグ最高打率も更新し打率.385で首位打者を獲得。最高出塁率、ゴールデングラブ賞、ベストナインなどタイトルを総なめにしました。この年、所属するオリックス・ブルーウェーブは2位であったにも関わらずシーズンMVPも獲得しています。
イチロー選手以降で200安打は青木宣親(あおきのりちか)選手(ヤクルト)が2回、ラミレス選手(ヤクルト)、西岡剛(にしおかつよし)選手(ロッテ)、マートン選手(阪神)、秋山翔吾選手(西武)がそれぞれ1回達成しています。しかし、イチロー選手は130試合制での達成でしたがその他の選手は143試合、144試合制での達成となっています。
また、現在のシーズン最多安打は2015年に秋山選手が達成した216安打となっています。

三冠王目前まで迫った1995年

イチロー選手といえば安打製造機であり巧打者の印象が強く首位打者、最多安打、最高出塁率以外の打撃タイトルに縁がないように見受けられがちです。しかし、そんなことはなくブレイク翌年の1995年には打点王も獲得しているのです。
1995年のイチロー選手は前年の活躍が、本物なのかフロックだったのか真価が問われる年でした。シーズン最多安打を更新したイチロー選手へは相手投手のマークもきつくなり苦戦することが予想されていました。
しかし、イチロー選手は相手投手のマークに苦しみながらも結果を残します。打率.342、179安打、80打点、49盗塁、出塁率.432の成績で首位打者、最多安打、打点王、盗塁王、最高出塁率の五冠となりました。打点王と盗塁王の同時獲得はNPB史上初めての記録となっており、イチロー選手以降も2016年終了現在で現れていません。
また、本塁打は25本となっており本塁打王を獲得した小久保裕紀選手(ダイエー)とわずか3本差でした。あと少しの差で三冠王を逃したのです。
この活躍でイチロー選手は悲願の優勝も達成し、オリックスは日本シリーズに進出を果たしました。日本シリーズではヤクルトに敗退しますが1月に起きた阪神淡路大震災から復興のシンボルとなったのです。

7年連続首位打者という偉業

イチロー選手は1994年にシーズン初の200安打超えとなる210安打を放ち、首位打者を獲得しました。1995年以降も同様にイチロー選手は常にパ・リーグ首位打者争いの中心におり結果的に7年連続でタイトルを獲得します。
この7年連続首位打者の記録はNPB史上最長記録となっており、イチロー選手以前は張本勲選手の4年連続が最長となっていました。 イチロー選手がメジャーリーグへ移籍した2001年以降もこの記録は破られておらず、今後も不滅の記録となりそうです。
また、連続ではなく回数でも7回という数字は突出しており、張本選手とともに最多獲得回数となっています。メジャーリーグに移籍初年度となる2001年にもアメリカンリーグで首位打者を獲得しており日米で数えると8年連続となっています。その後、2004年にメジャーで2度目の首位打者を獲得し日米通算で9回の首位打者を獲得したことになります。
ちなみに、メジャーリーグにおける首位打者の最多獲得回数は球聖ことタイ・カッブ選手の12回(11回という記録もあり)となっておりメジャーリーグの凄さがよくわかります。

オールスターでの投手イチロー選手

イチロー選手はオリックスへ入団する前の愛工大名電時代は投手としても活躍していました。3年春の甲子園では投手として出場しています。 プロ入り後は外野手としてプレーしますがNPB時代に一度だけ投手として登板したことがあります。その瞬間は1996年のオールスターゲーム第2戦で訪れました。
パ・リーグを率いる仰木彬監督が9回裏2死走者なしでイチロー選手をマウンドに送ったのです。対するセ・リーグの打者はゴジラこと松井秀喜選手(巨人)です。世紀の対決に球場をはじめ日本全体は盛り上がりました。
しかし、セ・リーグ率いる野村克也監督は松井選手に代打高津臣吾(たかつしんご)選手を送ります。これは野村監督が「オールスターを冒涜するな」というメッセージも込められていました。
この対戦は全てストレートを投げたイチロー選手。最速は141キロをマークし結果は遊ゴロに終わります。これ以降、NPBで投手としてイチロー選手は出場したことはありませんでした。
メジャーリーグでは2015年に1試合登板し1回を被安打2、1失点の成績を残しています。最速は143キロとなっており19年前よりも球速は上がっていました。

脅威の盗塁成功率

イチロー選手の凄さは打撃技術だけではありません。NPB通算で199盗塁を誇る盗塁技術も優れていたのです。2016年限りで現役を引退した鈴木尚広(すずきたかひろ)選手(元巨人)がNPBにおける盗塁成功率の歴代一位を更新しました。
鈴木選手は盗塁成功が228、盗塁失敗が47となっており盗塁成功率は82.91%です。鈴木選手以前の1位は広瀬叔功(ひろせよしのり 1956~1977)選手(元南海)で盗塁成功が596、盗塁失敗が123となっており盗塁成功率は82.89%でした。わずか0.02%鈴木選手が上回ったのです。
この記録はNPBで200盗塁以上でのランキングとなっておりイチロー選手は含まれていません。イチロー選手の盗塁成功率はどれくらいなのでしょうか?
イチロー選手のNPBにおける盗塁数は199、盗塁失敗が33となっており盗塁成功率は85.78%です。イチロー選手は1盗塁不足していますが鈴木選手、広瀬選手を3%近く引き離しています。メジャーリーグでは2016年終了現在で盗塁成功が508、盗塁失敗が116となっており81.41%です。メジャーリーグでも高水準の記録を残しているイチロー選手。
安打だけでなく盗塁にも目を向けるとさらにイチロー選手の凄さがよくわかります。現役最後に日本に戻ってくることがあれば、盗塁を成功させてもらいたいと願うファンは多いでしょう。50歳まで現役でプレーしたいと語っているイチロー選手の今後に注目です。