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パラリンピックを代表する迫力あるレース!車椅子マラソンの魅力を解説

2017 7/10 10:25TANANA
車椅子マラソン
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Photo by blurAZ/Shutterstock.com

1984年の夏季パラリンピックより正式種目となった車椅子マラソンは、オリンピックマラソンにも負けない障がい者アスリートたちの熱い戦いとドラマが毎回展開されている。 今回は、この車椅子マラソンの魅力を紹介し、さらに2020年東京パラリンピックに向けた注目選手も挙げていく。

パラリンピックにおける車椅子マラソンの歴史と日本人選手の活躍

車椅子マラソンの国際大会は、1952年に英国において開催されたのが始まりと言われるが、パラリンピックで正式種目として新設されたのは1984年の米国ニューヨークと英国アイレスベリー共同大会からだった。そして1996年のバルセロナ大会から、障がいの程度によるクラス分けが実施されている。
日本人選手も第1回から積極的に参加しており、1988年のソウルパラリンピックにおいて前田いつ子選手が銅メダルを獲得したのを皮切りに、男女合わせて10個以上のメダルを手にした。

車椅子マラソンのルールをわかりやすく解説

参加選手は車輪が3つあるタイプの車椅子に乗り、腕の力だけで車輪を回してトラックや市街地を走り、基本的には通常のマラソン大会と同じ42.195kmの完走を目指す。障がいの程度によってT51-T54などのクラス分けが存在し、異なるクラス間では禁止されるルールも存在する。
その代表的なものがドラフティングと呼ばれるもので、車椅子マラソンでは重要な戦略であり、空気抵抗を減らすため先行する選手の直後に位置付けることを指すが、これは同じクラス同士の選手たちの間で行うべきものとされている。

車椅子マラソンの魅力とは何か

車椅子マラソンの最大の魅力は、何といってもそのスピード感だ。トップスピードにのると平均時速40kmに迫り、下り坂では50kmに達するのだ。さらに2008年のパラリンピック銀メダリスト、笹原廣喜選手は時速68kmを出したこともある。
そのような迫力あるスピードを堪能しつつ、選手同士の熱い駆け引きを楽しむことも魅力の1つとなっている。それはまさに競輪やオートレースのような戦略に満ちたものであり、各選手がどこでスパートを図るのか、予測しながら観戦するのも面白いだろう。

2020年東京パラリンピックの注目選手を紹介、外国人選手編

2020年東京パラリンピックに向けて、メダル獲得の有力候補選手を見ていこう。
まず最初に紹介するのは、スイス出身のマルセル・フグ選手だ。2012年ロンドンで銀、2016年リオで金メダルを獲得し、実績は数多いる選手の中でもトップクラスのものを持っている。
しかし、2016年10月に行われた大分国際車椅子ハーフマラソンでは、7連覇を狙ったものの道中のアクシデントでリタイヤ。今後の巻き返し、そして2020年の東京パラリンピックで再度の栄冠を狙っている。

ベテランの味を見せるか、2020年注目の日本人選手を紹介

次に紹介するのは、2020年地元東京のパラリンピックで注目すべき選手だ。副島正純選手は日本代表チームのベテランとして、数々の実績を築きあげてきた。競技は違うものの2004年アテネ大会より3大会連続でパラリンピックに出場し、マラソンに関しては2005年のホノルルマラソンに優勝して以降、多くの大会で上位入賞を果たしている。
2015年にはレースディレクターに就任し、車椅子マラソンの魅力を世間に発信する役目を担うようになるが、50歳になる2020年東京パラリンピックへの出場も大きな目標としている。

まとめ

通常のマラソンに比べるとまだ歴史の浅い車椅子マラソンだが、一流アスリートにも負けず劣らずの熱い戦いが日本を含め世界中で繰り広げられている。 2020年東京パラリンピックに向けて、今から注目選手を見つけておき、前哨戦となる各大会においてその動向を見守るのも一興と言えるだろう。